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長い人生を攻略する方法

 医療や公衆衛生が発達した現代は人生100年時代と言われているのは多くの人が周知のことであろう。

 一昔前までは55歳が定年で70歳ぐらいが平均寿命だった。サザエさんの波平さんは実は定年1年前の54歳だ。今の54歳とは比較にならない。

 その定年は60歳に延長され、近いうちに65歳まで引き伸ばされる。今でも雇用延長ということで65歳までの勤務延長は可能なところがほとんどだ。この定年だが、そのうち70歳になるとも言われている。昔、平均的に人が死んでいた年齢まで働くということである。学校という10代の若者を相手にする職場で70歳の年齢まで義務的に働くのは想像するだけでもゾッとする。

 社会生活はだいたい22歳ぐらいから始まるので労働市場に約50年は在籍しなければならなくなる。日本のシステムだと大学と学部を決めるのは18歳ぐらいなので、人生最初の18年で決めたことをその後50年続けなければならないというのは言葉悪く言うと「イカれている。」

 学校にいると生徒かキャリア相談をよく受ける。「志望する学部が決まらない。」「どこの大学に行けば良いのかわからない。」というものだが、そこに回答はもちろんない。それを踏まえた上で皆さんはどのように答えるだろうか?

 私は「これから10年はやってみたいことを選んだほうが良い。」と答えている。

 親からも先生からもおそらく、「自分の興味を持っていることを選びなさい。」と言われていることだろう。もちろん、その通りであるがその興味を持つ単位を一生と位置付けることに無理がある。50年間同じ思いを持ち続けるなど、これほど難しい話しはない。皆さんの中で欲しいものを50年間追い続けた人は果たしてどれぐらいいるだろうか?

 私はちなみに人にキャリアの相談をしたことはない。自分の人生は自分で責任を持つべきだと思うし、アドバイスする人は大抵「良い大学」「良い会社」と言うのは目に見えていたので。それ以外の人生は全てダメなのかと言いたくなる。相談してイライラするぐらいなら自分で決めたほうがスッキリする。

 調べたところ平成の30年間で大企業と呼ばれたところがこれだけ倒産しているのだ。

 これらは先述した俗に言う「良い会社」である。絶対に潰れないと言われた会社がこれだけ潰れる。数十年という時間はそれだけリスクがあるのだ。

 最近知ったFIREという考え方がある。Financial Independence Retire Earlyの略だ。要は若いうちにガツガツ稼いで、そのお金を投資に回し、最終的には配当利回りで暮らせるようになろうということである。あなたがまだ20代ぐらいならこれを目指すのが良い。よく誤解されるのがリタイヤするのは社会からのドロップアウトである。若ければドロップアウトする必要はない。十分暮らしていけるお金がありながら、仕事を続けることも選択肢として入れて良い。

 問題なのが我々のような中高年世代だ。ここまで会社というところに飼い慣らされ、家族やそれを支える生活基盤も給与を前提に設計してしまったため、若者のような時間を武器にした選択肢を取ることは難しい。難しくてもできないわけではないと思うが。時間という最も価値のあるものはすでに大半浪費してしまったため、残された道は副業ぐらいしか思いつかない。しかし、その副業も会社から禁じられているところは多いだろう。

 確かに給与をもらうという副業は会社倫理に反するし、今の生活をクビで終えてしまってはそもそも何を目指していたのか分からない。しかし、世の中には「自分の力で稼ぐ」という副業もある。物を作ってフリマで売る、転売する、ブログを書く、などなど。これらは副業というカテゴリーにはならないだろう。そこでうまく行けば良いし、うまく行かなくても給与所得という最高の損失補填がある。社会に対して自らアプローチすることで、能動的に人生を生きるということにもつながる。

 インターネットが行き届く現代において、自分の身を削る労働という選択肢以外の稼ぎ方が可能な時代となっている。この利点を上手に使い、50年という長い社会生活を生き抜き、「良い人生だった。」とエンディングを迎えたいものである。




世界を旅するTraveler。でも、一番好きなのは日本、でも住みたいのはアメリカ・ユタ州。世界は広い、というよりも丸いを伝えたいと思っている。スナップシューターで物書き、そうありたい。趣味は早起き、仕事、読書。現在、学校教員・(NGO)DREAM STEPs顧問の2足の草鞋。