世界を救う前にしておくべきこと

 僕はアメリカで学生時代を過ごした。アメリカという国は寛大で多くのチャンス、何よりも個人が尊重される国である。留学中、言語の問題を始め多くの問題に打ち当たり何度もめげそうになったが、最後は自分の力で這い上がれるというアメリカの根底に流れた精神により大学、大学院、就職を異国の地で経験することができた。しかし、その過程で助けてくれる者などほとんどいなかった。もちろん応援してくれる人は多かったが、最後の決断と行動は自分の責任。今思うとそんな環境は自分に合っていたのかもしれない。

 なぜなら、日本に帰ると日本で生まれ育ったのにカルチャーショックを受けたからだ。とにかく人と同じことをやらなければならないし、その路線を踏み外すと変人扱いだ。今でも日本の文化は馴染まないし、どんな苦労が合ってもアメリカにもう一度住みたいなとも思う。

 しかし、日本にも良いところはたくさんある。それは自己犠牲の精神だ。人を助けるために自分が苦労しても構わないという気持ち。アメリカにもキリスト教文化に根付いた助け合いの精神はあるが、最終的には天国で自分が救われたいという気持ちがどこかにあるので、日本人の「人としての崇高な理念」とは異なる。そのような精神を持つ国民だからこそ多くの国で受け入れられるのではないかとも思う。

 ただ、ボランティア精神というのは少しずるい人に良いように使われてしまうのも事実だ。インターンと称してただ働きさせる文化は根絶しなければならないと思う。また、自分の生活の多くを犠牲にしてまで人のために尽くそうという熱い思いは好きだが、自分自身が潤わずに人を救うというのは活動が作業的になりやすい。「物を集めてあげる」「一緒に何かを作る」ということだ。それはそれでとても良いことなのだが、世界の問題を解決するためには多角的視点、分析力、ビジネスセンスも必要である。

 この本をご存知だろうか。これから世界を良くする活動をする人たちにまずは一度読んで欲しい本である。簡単に言えば、一人の力で世界は救えないということだ。行動を起こすことは本当に大切なことで自分自身もそれを大切にしてきた。しかし、

 NPO法人の平均年収は231万円とのこと。いくら好きを仕事と言っても生活困窮者のレベルである。近い将来必ず自分の生活が成り立たなくなり、人を救うためのプロジェクトも頓挫してしまうことだろう。そもそも支援を受ける側もしっかりとした経済的土台がある人と明日の生活もわからない人どちらの支援を受けたいと思うだろうか?

 色々調べた末、不労所得で生きていくためには最低1億2千万円必要だ。その額を貯めるまで自分の気持ちを抑える必要はないだろうが

給料所得⇨独立・成功し不労所得を確保⇨支援活動

 本格的に支援活動に没頭する前にこの公式を経るのが良いと思う。不労所得を得るまでの過程に多くの経験やスキルも身につけることができ、それは支援活動に必ず生かされる。これを路で行くのが何を隠そうマイクロソフトの共同創設者で現在は慈善活動家のビル・ゲイツ氏だ。まあ、彼の場合は給料所得は飛んで独立しているわけだが。そんなことができるのは一部の天才だけだ。別件だが個人的には学生起業、いきなり起業はあまりお勧めしない。その話しはまたの機会に。

 もしも若いうちにこの記事を読んで僕の話しに賛同したのであれば熱い思いを保ちつつ1円でも高い給料がもらえるところに就職することをお勧めする。もちろん、そのお金を散財してはダメだが。若さは人生最大の武器だ。ある程度の年齢の方でも人生は100年続くと言われる時代である。今からでも遅くはない。少しずつ一緒に頑張っていこう!世界の問題は我々が関与しなくてもしっかり解決している。

 信じられない人はこの本をぜひ読んでほしい。すでに多くの人がご存知と思うが、世界の本質についてデーターで語る「ファクトフルネス」だ。我々が関与しなくても世界は確実に良い方向に変わっている。しかし、世界の問題を根絶することは相当難しい。我々の熱い思いをぶつけられ、それを必要とする人は上記の公式を解いたあとでも必ずいるはずだ。



世界を旅するTraveler。でも、一番好きなのは日本、でも住みたいのはアメリカ・ユタ州。世界は広い、というよりも丸いを伝えたいと思っている。スナップシューターで物書き、そうありたい。趣味は早起き、仕事、読書。現在、学校教員・(NGO)DREAM STEPs顧問の2足の草鞋。