(全文公開)モヤモヤから生まれるヘイト
昨今問題となっているヘイトスピーチ。人権よりも自分の感情を押しつける劣悪な行為だ。アメリカ大統領の発言が格差を助長しているという非難は絶えないが、一人一人に自分の発言や行為を人道的に検証する力があれば、誰が何と言おうと抑制できるはずである。理想論だと言われるだろうが、なぜそれが理想でしかないのか?今回はそんなことを考えたい。
まず、ヘイトスピーチが起こる構図である。人が人を攻撃する最大の理由として考えられるのは漠然とした不安感である。今の自分の生活に不満だったり、なんとなく今の生活が壊れてしまうのではないかという不安。心理学に「認知的不協和」という言葉がある。人はなんとなくという感覚の下で生きるのが苦手であるため、全てのことに対して何かしらの理由をつけたがる傾向があるということだ。この観点から考えるとヘイトスピーチが継続し、広がる理由はよく分かる。自分の満たされない理由を他者のせいにすることで、自分を納得させるのだ。「なんとなく満たされない」「なんとなく上手くいっていない」そんなもやもや感を解消するために他者を攻撃するのだ。
こう考えるとヘイトスピーチを撲滅することは難しいように思われる。人はこの世に生きる限り何かしらの不安や不満は抱えるもので、短絡的に他者のせいにしてしまおうという人に対して「それは違う。」と伝え、納得させるのには限界がある。しかし、0には出来なくても減らし続けることはできるはずだ。違うことに対して「違う」と伝え、世間を攪拌しようとする人にそれをやめさせるための声をあげることはヘイトが間違いであると気づいている人たち全員ができることだ。何もしないで傍観するというのは悪なのである。匿名でSNSでもブログでもなんでも良い。自分を守りながら世間にNOという手段は今の社会には無数にある。
その昔、タバコは健康に良いという今では驚くようなことが信じられていた時代があった。しかし、メディアを含め、多くの人たちが「それは違う」という声をあげたことで、今では「タバコは体に良い」と本気で信じている人たちはほとんどいないであろう。みんなが「違う」と訴えることはやはり大事なのである。
余談だがタバコをめぐる争いで有名なのは「インサイダー」という映画。ご興味ある方はぜひご視聴を!
世界を旅するTraveler。でも、一番好きなのは日本、でも住みたいのはアメリカ・ユタ州。世界は広い、というよりも丸いを伝えたいと思っている。スナップシューターで物書き、そうありたい。趣味は早起き、仕事、読書。現在、学校教員・(NGO)DREAM STEPs顧問の2足の草鞋。