「Like A Virgin」ブックレビュー

知る人ぞ知る、ヴァージングループの総帥リチャード・ブランソンの経営哲学が語り尽くされた1冊です。ヴァージンと言えば、レコード会社、航空会社、宇宙事業と幅広いビジネスを展開。航空事業ではビジネスクラスからのリムジン送迎サービスやLCC並みの格安航空券の販売でありながらサービスは他社のエコノミークラス以上という語り尽くせない程サービス精神旺盛です。なによりも、リチャード・ブランソン自身は冒険家で気球で大西洋横断、カイトサーフィンで英仏海峡横断と命知らず。何でも、ビジネスメンターであるフレディー・レイカー卿に「企業のトップが派手なことをやれば、それだけで大きな宣伝になる」というアドバイスを受けて、冒険を思い立ったとか。レイカー氏もまさかそこまでやるとは思っていなかったろうに。。
ともかく、何故この本が教育者にオススメかというと、彼は人間として大切なことを貫き通して成功している人物だからです。「人に優しく」「他者に最高のサービスを」「失敗から学び、くじけるな」これは私たちが常に生徒に伝えているメッセージではないでしょうか?ただ、彼は失読症ということもあり、高校を卒業することができませんでした。学校で教えられる道徳観を持ちながらも、最終的には成績で人を判断する学校教育の大きな矛盾が彼の人生から垣間見えます。
リチャード・ブランソンは自身の信念に基づき次々と新しい分野に参入していきます。氏によると、「自分が経験したサービスで良くないと感じたものにビジネスチャンスがある。」とのことです。また、カスタマーサービスを重要視することで、サービスをより消費者よりに進化させていくことが出来るとも語っています。私は他者からの批判は出来れば聞きたくないタチですが、批判や意見を受けとめることで結果的に自分が得をするのだということは肝に命じておきたいところです。
それと、この本から感じたことは「もっと人生を楽しまなければ。」ということです。PCが普及して、業務量は一昔前の100倍以上に増えていますが、自分が幸せに、そして楽しく人生を歩むために仕事をしているということにも気付かされました。氏は多忙な毎日を送るなかでも、任せるところは人に任せ、自身は朝からスイミングやテニス、パーティー、お酒と人生を謳歌しています。本からも彼の人間的なゆとりが感じられます。お金があるから、自分の人生を楽しめるんだという意見も聞こえてきそうですが、24時間は貧乏でも大金持ちでも平等に与えられた時間です。それをいかに有効的に使うかにお金は問題ではないでしょう。まずは「自分の人生をしっかりと生きる。」そこから始めたいものです。生徒達にも「人の人生を生きるために自分を犠牲にしろ!」とは言わないはずですから。。

(ブログ移転につき過去記事)


世界を旅するTraveler。でも、一番好きなのは日本、でも住みたいのはアメリカ・ユタ州。世界は広い、というよりも丸いを伝えたいと思っている。スナップシューターで物書き、そうありたい。趣味は早起き、仕事、読書。現在、学校教員・(NGO)DREAM STEPs顧問の2足の草鞋。