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人権か発展か

 個人情報の取り扱い方法について規制が厳しくなってきた。私がアメリカにいた時は正直そこまで個人情報保護を強く意識することはなく、日本に帰ってきてその厳しさに驚いたぐらいである。最初は日本は厳しすぎると感じていたが、アメリカやEUがGAFAに対して制限を強める決定を次々に下していることからして、今までの自分の考えが間違っていたのかもしれないと無知を反省する次第である。

 SNSは簡単に発信できる分、自分自身の情報をあまりに広範囲にさらけ出すという危険性は確かにある。実際、このブログにしても意図しない人たちに届いてしまい痛烈な批判を浴びたこともある。過度な熱がSNS界隈に感じられるようになってから、極力自分自身の身辺ごとを発信しないようにしている。私をよく知る人はいささか私をフォローしていても面白くないように感じられるかもしれないが、個人情報というのは最大の財産となりつつあるのでその辺は理解し、できれば直接会ってお互いの近況を酒を肴に伝え合い、盛り上がりたいと思っている。

 しかしながら一方で自分の情報を勝手に吸い上げてくれたからこそ得られるメリットはある。簡単な例をあげるとアマゾンでは買った消耗品がそろそろなくなるぐらいの時に購入を提案してくれる。グーグル広告にしても自分が興味ありそうなものを表示してくれるので「それ欲しかったんだ!」となることも多々ある。こうした世界においては自分の情報を差し出すことにより「時間」を買っているのだ。時間が買えるというのはまさにICTの利点と言える。

 今後の世界とはこのような形になるであろう。つまり、無料サービスは大きく広がるが、金銭ではない個人情報を支払うことになる。それを支払わないと時間という金銭を失う以上の価値を失う事になる。しかし、その支払った自身の情報は自分が思っている以上に広範囲に使われてしまう。自分の身の回りを守るか、それとも情報という限りなく無限の価値を支払う代わりに、時間という買い物をするか。

 このような究極の選択を今までしたことがないのでどちらが正しいかは分からないが、ここまでインターネットが張り巡らされた世界において、情報を支払わないのは無理だろうと思う。できることと言えば、出来る限りインターネットから離れるか、割り切って情報サービスに身を委ねてしまうかのいずれかであろう。

 今後もこのような世界がさらに発展したその先に何があるのだろうか?今、気になるのはむしろそちらである。

世界を旅するTraveler。でも、一番好きなのは日本、でも住みたいのはアメリカ・ユタ州。世界は広い、というよりも丸いを伝えたいと思っている。スナップシューターで物書き、そうありたい。趣味は早起き、仕事、読書。現在、学校教員・(NGO)DREAM STEPs顧問の2足の草鞋。