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羊が私たちに与えてくれるもの

人が羊を家畜化したのは約1万年前、人類と共に生きてきた羊は私達人間にたくさんの恵みを与えてくれています。今回は原点に立ち返り、羊が私達にもたらしてくれる恵みについて書きたいと思います。

・羊毛
羊毛には多種多様な使い方がありますが、代表的な物として羊毛で糸がつくられそして衣服がつくられます。ただの衣服ではなくその生地はとても暖かく、湿気を吸収して外部に放出するという性質をもった機能性のある生きた衣服となります。衣服以外では羊毛をフェルトに加工し工業用資材としても多く使用されています。

・脂
ラノリンと呼ばれる羊毛に付着している分泌脂質です。1882年にドイツのリーバイヒとブラオンが羊毛を洗う時に出る汚水を遠心分離器にかけて精製、滲みでる脂を抽出精製することに成功し「ラノリン」と命名。
ラノリンを使って石鹸やろうそく・肌用の保湿クリームなどが作られます。

・乳
羊の乳からチーズやバター、ヨーグルトが作られます。羊の乳はとても脂肪分が高くて濃厚です。実際に飲んでみると牛乳に生クリームを加えたようなこってり加減でほんのり甘くておいしいのですがぐびぐび飲めるものではありません。シリアの遊牧民ベドウインはミルクを様々な食品に加工して一年の糧にしています。

・毛皮
羊の皮はシープスキンと呼ばれていますが、その特徴はなんといってもその柔らかさにあります。体へのフィット感は他の革よりも優れていて軽く薄いわりには丈夫です。その為レザーパンツやコート・手袋などへの使用が多く見られます。

・肉
日本で羊肉料理といえば「ジンギスカン」を思い浮かべるかもしれません。1950年代には農家の庭先に羊が1~2頭いるという時代が有り、その頃一般の家庭でも羊肉が食べ始められました。羊は体重が50~80kgと女性でも扱える家畜であったこと、羊毛も肉も採れ、戦後の物資が不足している時代にはとても役に立つ家畜でした。その後日本での飼育頭数減から、羊そのものの存在感が薄れた時期もありましたが羊肉の人気は根強く、ジンギスカンは珍しい料理ではなくなり、現在でも食べられています。

人は羊から仔羊の為の乳を分けてもらってチーズを作り、老羊の肉を食べ、毎年伸びる毛で糸を紡ぎ、毛皮で衣や寝袋を作って体を温め、糞は燃料にもしました。羊を飼う事で人は生きてこられた。まさに羊の毛・肉・乳で命を繋いできたといえるでしょう。このように羊が人間のパートナーとして共に歩んできた事を1人でも多くの人に知ってもらえれば幸いです。


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