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【尼】ティヌブ政権への期待と迫る軍事拡大

チャド盆地やナイジェリア北東部で活動を広げるISWAPへの対策として今回大統領選で当選したボラ・ティヌブ大統領はどのような対応を取るのだろうか。

MNJTF(西アフリカ多国籍軍)の活動により、ボコ・ハラムの勢力は収縮しつつあるが分離組織のISWAPは勢力を拡大する一方である。

ブハリ前大統領の果たされなかった公約

ブハリ前大統領は、同国やニジェール、カメルーン、チャド、ベナン、マリなどに影響を与える両組織への対応に消極的であり、大統領選前は自己政党である全進歩党(APC)の政権維持に多くの時間を費やしてた。これによりISWAPの活動範囲が広かったとされる。

ブハリ前大統領は過激派組織が影響を増す中、この事実を隠蔽するかのように「ナイジェリアが抱える問題の中に過激派は含まれていない」と述べていた。

ウソである。

ブハリ前大統領は就任時に「国内のあらゆる反政府組織を打倒する」という公約を述べており、確かにハラムの拡大の影響力は抑えており、これは政府の大きな成果とも見える。

しかし、ハラムを弱体化させたのはナイジェリア軍ではなく、上記で述べたMNJTF(西アフリカ多国籍軍)である。多国籍軍の主導をナイジェリアが担っているものの

ニジェールやカメルーンなどの加盟国あっての組織であり、先週のハラム戦闘員30人殺害と関係者960人の拘束に至ってはニジェール軍が行っている。


ブハリ前大統領はISWAPの活動を無視し、APC党の維持に努めたのは明らかな公約違反であろう。

過激派を一掃するだけの軍事力を持ってないナイジェリア政府

ナイジェリアの人口は2億1千万人おり、これに対し軍人数は20万から30万と全人口を守るには少なすぎるという批判の声も大きい。

(エジプトと比較すると、エジプトは約1億5千万人の国民に対し92万人の軍人が配備されている。)


SGT(Sementix Grobal Concept)は「現状の戦力では国内の過激派を一掃することは不可能であり、相応しい軍拡を行えば数週間で反政府組織を打破できる」と述べている。

ナイジェリアはフランスやロシア、中国などから軍事提供、軍需品輸入をしており、Mig戦闘機や無人攻撃機CH-3などを既に導入している。

ティヌブ大統領は前政権の政策を維持すると述べており、政策を維持するのであれば前大統領の公約を果たす義務も必然的に生まれるはずだ。

公約を果たす為には軍拡をし海外軍事債務を抱え、その負担を国民に課すか、暫定戦力で多国籍軍との協力とのもと国内過激派を一掃するか二つに一つと言ったところであろう。

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