世界観や雰囲気をリスペクトした同人小説の書き方④

私はBLも夢小説も書くけれど、ここで一旦夢小説の話をさせて貰いたい。

夢小説は原作は存在しないオリジナルキャラクターが主人公として存在する二次創作だ。私は古のヲタクなのでドリームサーチや個人サイトが大活躍していた頃の感覚が強いが、最近では名前変換できてもできなくても、オリ主でもなんでも夢というジャンルと呼んで差支えはなさそうだ。(界隈によっては名前や顔有だと夢小説、なしだとプラスという棲み分けもあるので、そのジャンルの暗黙のルールみたいなのはなんとなし把握しておくと良さそう)

いや~楽しかったよねあの時代も。流行り廃りもあって、異世界トリップから始まり、逆トリップ、天女、嫌われ、ホラー系、傍観系、モブ女系、悪女系、成り代わり系……。色んな神作品がネットに溢れかえってたなぁ。好きサイトはほとんど閉じられてしまった(私も自サイトはとうの昔に閉じてしまった)。でも今も色んな場所に夢小説は根付いていますよね。支部とか。

ところで、古の夢女たちは大概経験があるのではなかろうか。

自設定が公式に出てしまうという恐ろしい事件が……!!!

ミズミズの実の能力者、零番隊所属、雪のリングの守護者、エクソシスト……。色々やってくる中で、当然公式で本物が出てくることもあるわけで。そういう時は開き直って「これは二次創作で、公式から設定が出る前に書いたものなんで!!」ってすればいいだけなんですけども。まぁ~ようするに、時には自分の同人作品が原作の感じがすり合わなくなって、勝手に自分でショック受けちゃう時もやっぱりあるじゃないですか。ないかな? 私は結構あったぜ。しかも天下の原作様ですから相手は。最高な設定ででてきちゃうわけじゃない? 言葉にならぬあの複雑な思ひ出ね……ぽろぽろ……。

今じゃあるあるなんてネタにされるけど、当時、いや今でも誰かが真剣に書いてるわけですから。私もそんな風なの書いていましたから、私自身あるあるネタを見ると懐かしさで笑っちゃうこともありますが、馬鹿にした笑いの方向へ持っていかれると悲しいですよね……。

今書いているものとは違う、もう十年以上前に書いていたOP夢の主人公に私はメロメロの実を食べさせていたわけですが、案の定出てきましたよね~。メロメロの実。しかも七武海。ハンコック様が登場された時にはとっくに違うジャンルに以降していたんですが「ヒェ~出てきた~!」とはなりました。さすが尾田先生。

今書いている夢主人公も悪魔の実を食べてるんですが、いつか原作に出てくるんじゃないかな~と予想はつけてるんですけどね。一応、もしそうなった時の展開みたいなのは頭の片隅に置いています。

さて、また前置きが長くなってしまいましたが。

今回は何を語ってゆきたいかというと、原作の本編に近づけすぎないで、原作の世界観や雰囲気だけをリスペクトして書けば、なかなか公式とは被りにくい(かもしれない)作品づくりについてです。

夢小説のことばかり語ってきましたが、シッパー作品でも対応できると思いますので、興味がありましたら是非読んでみてください。

4⃣原作の隙間・余白を楽しむ。

いやもうこれ言うまでもなく皆さんお好きでしょ???

マイナーカプが好きな人なんか特にこれお好きでしょ???

同じコマに写ってるだけでも、ちょっと設定に通じ合うとこがあるだけでも、絶対この二人付き合ってる!! と思っちゃう。そんな方々はもう原作の隙間や余白を十二分に楽しんでいる可能性があるのではなかろうか。

支部で色んな作品を見ていても、説明欄に「××の時系列の後」「〇〇と〇〇の間の出来事」なんて風に、原作では描かれなかった時間を同人作品にする方ってたくさんいる。そういう作品はとても密度が高く感じられて、満足度の高い読了感を得られるのではなかろうか。

何故か。前記事でも書いた通り、読者にその作品の前後をカバーするだけの前提があるからだ。脳内補完力である。読者のそのキャラクターや世界への愛が、あなたの作品をそれぞれの胸のうちで輝かせてくれる。

例えば1000文字の作品だったとしても、原作の〇と×の間の時系列の話であれば、読者の中にはその原作の時間が存在するのである。その同人作品を読んだ時の世界の広がりは、1000文字を読んだだけに留まらない。これが二次創作の特徴のひとつだと個人的に考えている。

原作を見てここがこんなシーンだったらと誰かが原作の向こう側を思い描き、また別の誰かが同人作品になったそれを読んで、さらにその同人作品の向こう側に想いを馳せる……。素晴らしい想像(妄想)の連鎖だ……。無限にエモエモな心地を体験できてしまう。お得~。

この原作の隙間を縫う行為、シッパーであれ夢女子であれお好きだと思う。この隙間を縫うのに、私は作品を書く時ちょっとしたコツがあると思っている。ちなみにこれはまだ原作が連載されている・続いてゆく場合の話だ。原作が完結済ならばもう好き放題やって欲しい。熱い気持ちをそのまま二次創作にぶつけて欲しい。

色んな作品を(この場合二次創作ではないもの)見てゆくと、なんとなく王道展開や王道演出ってのは分かってくる。映画であれ漫画であれ、セオリーというものがある。続編があるものは見ていると、明らかな余白を感じる部分がある。「これ絶対フラグだ……どうなるんだろう……!?」というワクワクや「先生はここに明らかなる意図を隠されていらっしゃる!!」そう思った箇所は、やっぱり大概原作で後から補完される。

それを分かっていて二次創作を書くのも全然アリだ。私もやった。映画の続編が出る前に、慌ててその映画の二次創作を書ききった。そして「これは2が出る前の、私の中のこうだったらいいな~です!!」と説明欄に書いた。ちゃんとそう書いておけば、読者の皆さんは受け入れてくれる。二次創作なんてそもそもifであるが「ああ、if話ね」と優しい姿勢で読んでくれるのだ。

まあでも、私みたいになるべく原作の裏側がこうなってたらいいんじゃないかな、という妄想話を書き綴りたい人もいるはず。……いるよね?

そういう時、ささやかな隙間を楽しませて頂く、のが最大のコツ。

Q.どういうこと?

A.説明がとても難しい。

記事にしとていなんやねん!! と思われるかもしれないが、いやこれ本当、感覚的である。ここの隙間は原作者や監督が絶対に堀り返さないのでは……!? そんなちょっとした要素を追求して掘り下げると、意外と奥行きのある作品が生まれたりするのだ。

私にとって原作沿いや原作の隙間、原作後の同人作品を書く作業は、たくさんの針山に刺さった針の中からルートを選んで一本の糸を通すのを楽しむような感覚だ。これがとても楽しい。原作とワンシーン、台詞、キャラクターの心情、食べ物から景色、全てが針である。それが刺さった針山を眺め、どの針からどの針へ糸を通せば自分の好きなストーリーが描けるか考える。

次第にこの針に糸を通す作業に慣れてくると、同時に何本かの糸をあちこち通せるようになってくる。これがある種のフラグというやつだ。

会話したことないマイナーカプ? いいじゃんいいじゃん。目と目が合ったんでしょ? Aの目線って針とBの目線って針の間に、糸通しちゃおうよ。

Cってキャラクターはいつも独りだけど、恋人がいたら何か変わるかもしれない? いいじゃんいいじゃん。そのCの孤独という針に、夢主という名の糸通しちゃおうよ。

カラフルな糸を通したり、編み上げるうちに、ひとつの”物語”という名の織物ができるわけだ。よく物語や人生は縦糸と横糸~と織物に例えられるけど、こういうことだと感じる。

もうこれに関しては数重ねるしかない。そうすると段々と”勘”みたいなものが働くようになってきます。好きこそものの上手なれ!

最後に、原作の隙間を埋める作品を書く時は【その作品を崩す公式設定が出てきても気にしない】【もし公式設定が出た時にはこういう逃げ道のルートを作ろう】というどちらかに心を決めておくと、動揺することなく原作を楽しめるぞ!! 

それではまた次の記事で!!

【引鉄の二次創作は支部で読める】https://www.pixiv.net/users/4048940

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