世界観や雰囲気をリスペクトした同人小説の書き方③

またも長い前置きを失礼。

前の記事でも書いたように、私は純文学のようなキチンとした小説を読むのがかなり苦手だ。(といってもそもそも挑戦自体あまりしたことがないので、まだ好みの作品に出逢ってないだけだと思う)

私が純文学を苦手だと思ってしまった理由のひとつとして、上手いこと世界が想像できなかった、というのがある。私は人の感情の動きや所作を観察するのが好きなのだが、小説はひとりひとりの動きを全て書き出すわけにもいかない。そうなると脳内で登場人物が上手く動いてくれない。「あれ?さっき何してたっけ?」「今この人はどこで何してるんだ?」となる。しかも私は学があるわけではないので、難しい言葉が出てくると訳が分からなくなってしまう。いちいち単語の意味を調べる根気も、私にはなかった……。

そんな私であるが中学時代からネットの二次創作だけはもう読んで読んで読みまくってた。BLも夢も読みに読んだ。中学時代の一年生後半から二年生ほぼ全部を不登校で過ごした私は(そこにイジメなどの特別な理由はない。あえて言うなら人付き合いや勉強のペース、色んなことに合わせるのがイヤだったのだと今は思う)、とにかく家にいる間は二次創作を読み漁っていた。そのうち自サイトも作った。典型的なひきこもりヲタクの誕生である。(ちなみに中学三年で復帰し、高校にも進学し、結局高校生活は半年で幕を閉じた。そこからバイトをしたり、役者になっていったりしたわけである。)まあそんなわけで、とにかく私はすっっっごく読んでいるのだ。二次創作を。

ライトノベルすら数冊までしか読めなかった私が、何故二次創作はこんなにも読めたのか。理由は明快だ。そのキャラクター達が好きで、よく知っていたから想像しやすいのである。

私には彼ら(キャラクターや世界観)に対する知識がある。これがものを読み進める際に、私にとって強力な味方となったのだ。この脳内補完力はとてつもない力を秘めている。これなくして、二次創作は成り立たないだろう。

二次創作の素晴らしいところは、最初から読む人に大概は好意があるところだ。

皆そのキャラクターが好きで読みにくる。普通の小説よりハードルが低い。好感を持った状態でスタートできるのだから。

二次創作は好きの共有だ。なんて素敵な響き。

脳内補完力についてはまた別で詳しく書かせて頂くが、とにかく二次創作においてはこの力を使わない手はない。皆の中に、既にそのキャラクターが生きている。そのキャラクター達を自分が借りた”二次創作”というフィールドの中で、どういう風に動かせば、キャラクターがそこにいると思ってもらえるのか。

そういう話を今回はしていきたいわけである。


3⃣キャラクターの特質・口調・仕草を変えすぎない

これは1⃣でも説明した、原作のテンポ感を崩さないことを細分化したうちのひとつのコツではなかろうか。

Aというキャラクターがいたとしよう。好きが加速するとどうしても自分の中に自分だけのAが出来ていってしまう。小説を書いてみて、読み返してみたら口調がだいぶ違っていたりするなんてことはざらにある。これが積み重なると、結構ベツモノになってしまうのだ。

ここでまた繰り返そう!!

二次創作は自分の好きに書いていい。キャラクターが多少変わったっていいのだ。決して悪いことじゃない。あなただけのAくんを見たい人だって山ほどいる!!

ただここでは原作の世界観や雰囲気をリスペクトして書くための手法を書き綴るので、それについて言及してゆく。それっぽくしたいけどどうしたらいいかな、という人だけがなんとな~く読んでくれれば本望である。

ちなみに私もこれだけこの記事を書いているが、私色みたいなものはちゃんとあるし、原作へのリスペクトを意識すると同時に、それも盛り込んでいる。これに関しては記事のテーマが違うので、いずれ別の記事に書くかもしれないが、とにかくここではいったん置いておく。

何が言いたかったかというと原作っぽくすればいいわけじゃない。自分色も同時に大事にしていって欲しい。それを踏まえて、ここから先の記事も読んでいただけたら幸いだ。

ただこの記事のテーマに沿って小説の書き方を語らせていただくのであれば、キャラクター像を崩し過ぎない。これに限る。そのキャラクターの中に一本真っ直ぐ通った芯。生まれて育って身についたであろう口調。何かを感じた時の仕草や表情の動き。こういったものを大切にしてゆくと、読者から気に入ってもらいやすい。なぜか。読者もそのキャラクターのそういうところが好きだからである。

ようは『好き』を限りなくスタート位置に固定した状態で書けばいいのだ。私の中でAはああでこうで、と付け足し要素はある。妄想は日々膨らむばかりだ。けれどもそれを気持~ち抑えて、皆の中にあるA像を意識して書く。そうして、少しずつ自分がプレゼンしたいAの要素をエッセンス程度に入れてゆく。そうするとあら不思議。読者はいつの間にかあなたの好きなAの新要素に胸をときめかせているのです!!!そう!!ほぼ洗脳!!!!

私にとって二次創作ってプレゼンでもあるんですよね。自分が良いと思ったものを誰かにも良いと思って欲しくて全力を注ぐ。愛&執念ですわ。

さて、ここで私が純文学やライトノベルを読めない話に戻る。そんなわけで私はぶっちゃけ文章力がない。語彙力がない。綺麗な文章は書けない。いつもそれに悩まされている。時々言葉がおりてくるけど、そのモードじゃない時はいつも苦しんでいる。ただ私はある時、気がついた。別に純文学書きたいわけじゃなくない??それな~~。私はオリジナルも書くのだが、私はぶっちゃけ小説が書きたいのではない。オリジナルであれ二次創作であれ、自分が考えた物語をこの世に生み出したいのだ。一番手に馴染んだ手段が小説だっただけで、もし技術さえあれば、舞台でも絵でも漫画でもアニメでもなんでもやりたい。そんな感じなのだ。​私は自分の作品はエンタメだと割り切って、そこが推しだと思って、書いている。「小説じゃなくて私の描いた世界を見て見て~!」そんな心持ちだ。

何が言いたいかというと、私はマジに文章力がない。けれど、原作が小説でない限り、文章力がなくても原作の世界観や雰囲気を持ちえた小説を書くことは可能なのだ。私が証明者である。

1⃣のテンポ感についてでも記したが、例えば会話と会話の間にキャラクターのひとコマが表現される原作であるなら、そこを拾い上げると良い。その時Aはどんな表情なのか。その表情の時、Aは何を感じているのか。原作にそれがあるならば、読者も皆なんとなしAのその心の動きを知っている。なのでそれを入れてみれば、勝手に読者はAのその気持ちを脳内補完してくれるのだ。Aへの愛故である。

ようするに!! キャラクターのいかにもそれらしい表情や仕草をひたすら書き綴るだけで、時に読者は勝手にそこにキャラクターの心情を乗せてくれるのだ!!!わあ楽ち~~ん!!

テンポを重視したい描写では、私の場合ほぼコレである。美しい描写などあったものではない。誰が何に何をした。それだけ。でもそれで良い時もある。その時、何を一番に読者に楽しんで欲しいか考えれば、切り捨てるこだわりは変わってゆくのだ。軽快な会話、緊張感を途切れさせたくない、そんな場合、個人的にはこの手法が外せない。

Q.じゃあキャラクターの表情や仕草の癖はどうやって考えればいいの? 相当好きじゃなきゃできなくない?

A.そうだよ!!!!

好きじゃなきゃできないッス。特に私は人の挙動について想いを馳せるのが好きなタイプの変態なので特技です。演技なんかも学んできたせいで、俳優の瞬きひとつにも意味があると知り、キャラクターの心情を読み解き意味づけようとするレベル。あ、あ、ひかないで……。

とまあこんな変態ほどゆかずとも、それでも好きならば勝手にキャラクターが脳内でやってくれると思います。問題はそれをどう具現化するか。そういう時に、同じAが好きな読者の好きパワーを信じてシンプルに書くのが良い場合もあるんじゃないかな。

再三繰り返しますが、これができなかったら好きが足りないとかではないですからね!!好きの形は人それぞれ。あなたの好きを大事にしてください。

ではまた次の記事で。

次の記事はこちら https://note.com/worldescaper/n/n3f6a30ec94be

【引鉄の二次創作は支部で読める】https://www.pixiv.net/users/4048940

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