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映画「FPS」ゲームのFPSというより映画のPOV

プレイヤーの視点でゲームを展開していくシューティングゲームをFPSと呼ぶ。この映画は全編を主人公目線で展開している映画なのでFPSと名付けたようだ。
しかし映画の手法で言うとPOVと呼ばれるものになる。FPSとは「First Person Shooter」の略なので、主人公が「戦う」という意味では、この映画は厳密なFPSではない。
POVは「Point Of View」の略で、主観視点で展開する映画作品を示す。代表的な作品には「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」などがある。
前編をPOVで通すのはけっこうしんどい。なので設定の説明などは通常の第三者視点で展開し、例えば「発見されたビデオカメラの映像」などをPOVで展開するというのが定石だ。

この映画は頑張って前編をPOVで展開している。そこはけっこう頑張っている。主人公の姿は鏡に映った状態や窓の反射する姿で表現。このあたりはなかなかうまい。
SF映画の「ハードコア」も全編がPOVだった。サイボーグ化された主人公が妻を救うために戦うアクション映画だったが、一人称映像に納得感がある激しい映画だった。
それに対してこの映画は低予算ということもあって、もたもたした1時間でしかない。ホラー映画なのに全く怖くないし、ストーリーにも怖さがない。なんだかもったいない感じ。
上京した元自衛官の女性が、内見していたマンションの一室で異世界に引き摺り込まれるというストーリー。上手く作れればけっこう面白そうな設定だ。ところが・・・
GoProが開発されてこのPOVという手法が可能になったわけだが、決して低予算で映画が作れるわけではない。逆に手間や時間をきちんとかけないとただのチープな自主映画になってしまう。
そんな学びを得られる作品。
っていうか、どんな経緯でこの作品が作られたのか、そっちの方が気になる。単なる映画ではなく、VRなどのアトラクション用の映像として撮影されたのか、それとも実験的に作られたのか。

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