宝島社 蓮見清一社長逝去

またユニークな創業社長が世を去った。
決していい評判ばかりでない人だが、経営者としての実力はさすが。「カンブリア宮殿」のゲストにお迎えしたときは、おまけ付き雑誌が絶好調の時期。その発想が面白い。
雑誌には「コンビニ」というユニークな流通経路がある。もちろん書店売りもあるが、雑誌のコードが取れればコンビニで流通させられる。若者が書店に行かなくなっていた時期なので、コンピにで流通させられる雑誌というのは魅力的だったという。
そこで考えたのが、「雑誌をおまけにした商品販売」だ。形態としては雑誌のおまけに商品がついてくる形だが、読者のお目当てはあくまでも商品の方だ。しかも有名ブランドのオリジナル限定商品がおまけについてくる。もちろんブランドにもよるが、人気のプランドならば売り切れ必至だ。
雑誌のおまけには、定価から逆算される上限がある。その限界の中でいかに魅力的なおまけを開発するのか、そこが編集者の手腕の見せ所。まずはブランドと交渉し、ブランドイメージを毀損しないユニークな商品を考える。そして「大ロットを買い切る」という条件で海外の工場と交渉をする。これら全ては編集者の仕事だ。だから宝島社はユニーク。中途採用の人の出身も出版ではない人が多かった。
別荘では馬に乗っていた。なんかちょっと発想が違う。
ミステリの年間ランキング本を作って、それをハブとしてミステリの新人賞を創設。映像向きの今どきの作品を積極的に開発し、メディアミックスとばかりにドラマ化、映画化を狙う。往時の角川書店のようなパワーだ。
学生運動世代の経営者としては、この蓮見清一氏とゼンショーの小川賢太郎氏が有名だが、小川氏は何度交渉してもテレビには出ないと断わられ続けた。
2人ともなかなかにパワフルな経営者であることは間違いない。プロ経営者とかそういうことではないが、ある意味、芯を喰った経営者ということなのかもしれない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?