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マンションの大規模修繕費が大変なことになりそう

ネットを見ていたら、住宅のリフォーム工事代が大幅に上がっていて、不動産投資をしている人たちの大きな負担、収益減になっているそうだ。そもそも不動産投資とは、物価と家賃が連動しているという「幻想」に基づく投資。しかし現在のようなヘンなスタグフレーション経済の中では、物価が上がっても家賃は上げられない。なので不動産投資家にとっては冬の時代になってしまう状況だ。
しかもコロナによりリモートワークが普及し、必ずしも都市部で生活しなくてもよくなった。人が都市部に集まることを前提としている不動産投資はさらに追い込まれることとなってしまう。

そしてこれから大変になってくるのが、マンションの大規模修繕費用の高騰だ。
ある不動産管理会社の人によると、すでにコロナ前の1.5倍から1.7倍くらいになっている肌感とのこと。通常マンションの大規模修繕費は長期で積み立てているが、それが足らなくなり、各戸が追加負担しなければならない状況が多発しているらしい。
マンションはきちんと管理、修繕していかなければ、即傷んでくる。傷んでくれば不動産価値が下落し、その後にはスラム化などの恐れもある。マンションにとっては、管理、修繕こそが生命線。
大規模修繕費用が上がっている根底には、材料費の高騰と、人工の高騰、そして足場などの高騰がある。
記録的な円安により材料費は物理的に上がっている。工事現場はなかなか大変な現場仕事なので若い人はやりたがらない。そうなると外国人に頼るしかないが、社会情勢が変わり、かつての技能研修制度などで外国人労働者を安価で確保することもできなくなり、そうなれば当然のこと人工は上がってくる。
足場のほとんどはレンタルなので、その部分では大きく原価は上がっていない。しかしそれを扱える職人の数は限られていて人工は間違いなく上がっている。
さらに、最近は安全基準が強化され、工程や安全対策の手間が増えて、それが人工の上昇に直結している。しかしこれはある意味、正常化でもある。

東京オリンピックで職人が不足してくると言われたのはずいぶん前。そして今年の正月には能登の震災があり、まだ復興もなかなか進まない中、一方には大阪万博に職人が集められている。明らかに職人が奪い合いになっているのに、職人のなり手は減っているというアンバランス。
そして2000年代初頭から建てられてきたタワマンの大規模修繕が怒涛のように押し寄せてくる。
そうなれば、その費用が上がってくるのも当然だろう。
タワマン初の大規模修繕は、川口の55階建てマンションで2015年当時で総額12億円、戸数で割ると200万円程度の負担だったという。
しかしこれはまだ諸々が安かった時代の価格だ。しかもエレベーターの交換は行われていない。
マンションの大規模修繕はおよそ15年毎に必要になるから、例えば30歳でタワマンを購入したファミリーは60歳で定年を迎える頃だ。そんな時期に2度目の大規模修繕の高額な負担が一気にやってくる。いくら毎月の修繕積立金があるといっても、たいていの場合、修繕積立金は少なめに設定されていて、しかも大規模修繕費用は想定より増えてきがち。
なかなか厳しい状況だ。

私の住むマンションはタワマンではないが、それでも住人の高齢化は著しい。そこに大規模修繕費用の高騰は厳しい。しかし管理こそマンションの価値の大きな要因であり、住環境の基本なので疎かにはできない。
それにしても、なんとも厳しいニッポンになってしまったものだ。

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