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椰月美智子「みかんファミリー」最後はタイトルに納得する小説

以前、日々を追われるように過ごしていたときは児童文学を読む時間など全くなかったが、ここのところ歳をとって仕事のペースもかなり緩くなってきたので、時間ができるようになった。そんなわけで児童文学にも目を通すことがある。
児童文学といっても、子供用とバカにはできない。けっこうきちんとした文学だったり、エンタテインメントだったりする。侮ってはいけない大切なジャンルなのだ。しかも次の時代を担う子供たちを育て、読書習慣へと導いてくれる。

中学一年生の主人公は、お母さん、おばあさんとの3人生活をしている。お母さんはある日、家から離れたスーパーで中学時代の友達と偶然に出会う。その友達は、娘、孫娘との3人家族。
そしてこの2家族がなぜか古民家で共同生活をすることになる。
これって意外にいいかもしれない。
本郷では、学生と独居老人が一緒に生活するという試みをしている。老人宅に学生が下宿することで、年寄りは生活にハリが出て、学生は学びを得られる。そしてセキュリティ的にもいいということでなかなか好評のようだ。もちろん、世代と価値観と生活の違う二人が一緒に生活するのだからぶつかりやトラブルもあるかもしれない。しかしそれを超えるほどのプラスがあるということなのだ。
ちょっと時代を先取りしたかのような児童小説。そして大人が読んでも納得で楽しめる。
<8月上旬発売>


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