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映画「YOLO 百元の恋」元の映画とは違った意味で傑作

元になったのは日本映画「百円の恋」。こちらは10年ほど前の映画だが、ダメ女子がボクシングによって再生していく非常に印象的な映画。安藤サクラの芝居の巧さが爆発していた。
その中国でのリメイクがこの作品だ。日本版の映画スタッフが監修として制作に参加していることもあって、非常によくできたリメイク作品に仕上がっている。ただ残念なことに元の作品はもう1人の主役が新井浩文ということなのでなかなか話題にしにくい作品になってしまったので、忘れられた傑作になっていた。

このリメイク映画の話題は、ジア・リンが自身で監督、主役を務めているというところ。コメディアンなので非常にバラエティ的な作りになっていて、まさにエンタテインメントという感じ。過剰な脚色はせず、原作映画のいいところをきちんと伸ばしている。
映画のために体重を増やし、1年をかけて50キロの減量をしたというのも凄まじい。減量の間は他の仕事を断ち、その間の様子は映画のラストにドキュメンタリー的にまとめられている。
そして本編中では、トレーニングをする季節の移り変わりにこのダイエットの様子が使われている。これはなかなか驚異的なシークエンス。

ストーリーは大きく変わっていない。
家族のお荷物の引きこもり女子がボクシングで再生していていく。もちろんクライマックスはボクシングの試合シーン。ここは嫌でも感動させられる。素晴らしい見せ場だ。

この映画は世界規模で740億円の大ヒットとなった作品だ。もちろん中華系の人口の多さもあるが、それだけではない、元の映画の持つ強いIP力が武器になった。
日本だってまだ捨てたものじゃない、秘められた魅力はきっとある。
隠れた、そして忘れられていたIPを再生されるのも、また日本復興の一つの方法に違いない。

ちなみに「YOLO」とは、この映画のアメリが版タイトル「You Only Live Once」の頭文字。これもいい。
7月5日公開予定。

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