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創作のようなもの

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#毎週ショートショートnote

友情の総重量【毎週ショートショートnote】

「では表に返して。時間は10分。始め!」 選択科目の現代文読解。 少人数のゼミのような雰囲…

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三日坊主のクレーター【毎週ショートショートnote】

歯の詰め物が取れた。 いつ治療した歯なのかは覚えていない。 俺は病院が嫌いで、特に歯医者が…

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てるてる坊主のラブレター【毎週ショートショートnote】

てるてる坊主だからって晴れが好きとは限らない。 少なくとも僕は晴れた空よりも曇り空の方が…

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祈願上手【毎週ショートショートnote】

新年の初詣で混み合う時期を避けて、ひと月ほどずらして地元にある神社に来た。 混んでるのは…

羽根宮糸夜
2週間前
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文学トリマー【毎週ショートショートnote】

俺は文学トリマー。持ち込まれた文章の余分な部分を削り、より読みやすく見た目も美しく仕上げ…

羽根宮糸夜
2週間前
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真夜中万華鏡【毎週ショートショートnote】

住宅街の中にぽつぽつと古くからの個人商店が並ぶ道に、一軒のアンティークショップがある。 …

羽根宮糸夜
1か月前
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放課後ランプ【毎週ショートショートnote】×色のある風景

放課後の部活動を終えて校門を出ると、まだ外は明るかった。 駅の方に歩く皆と別れて自転車に乗る。 家から学校まで自転車で約二十分。 住宅街や小さな商店の並ぶ道を通って通学している。 ぽつぽつと間隔を空けて古い店が並ぶ道に入ると、その中のアンティークショップに目が向かう。 ファンタジー小説に出てきそうな雰囲気のある店で、入り口には凝った意匠のランプが置いてある。 最近は日が延びてまだ明るいけれど、暗ければランプがきれいに見える。 ランプの炎は日によって色が違って見えるから、通るた

ラムネ炭酸寝顔【毎週ショートショートnote】

ラムネを初めて飲んだのは、小学一年生のときに連れて行ってもらった夏祭りだった。 お祖母ち…

羽根宮糸夜
1か月前
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春ギター【毎週ショートショートnote】× #春とギター×花吹雪 #シロクマ文芸部

花吹雪の中、やわらかくてどこか儚いギターの音が聞こえてきた。 音がする方に目を向けると、…

羽根宮糸夜
1か月前
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モカ入り卒業式【毎週ショートショートnote】

店内のショーケースには数種類のタルトとケーキ。 素材にこだわったフルーツタルトは季節によ…

羽根宮糸夜
2か月前
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深煎り入学式【#毎週ショートショートnote】

高校の入学式はちょうど桜が見頃だった。 進学といっても小学校から高校まで付属の学校で、私…

羽根宮糸夜
2か月前
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命乞いする蜘蛛【毎週ショートショートnote】

蜘蛛と聞いて思いつくもの。 芥川龍之介の『蜘蛛の糸』。 小学校の学芸会で『杜子春』をする…

羽根宮糸夜
2か月前
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桜回線【毎週ショートショートnote】【魅力的な台詞で始まる話】

「わぁ、この桜が見られるだけでも、ここに引っ越してきたかいがあったかもしれない」 引っ越…

羽根宮糸夜
2か月前
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満月ガスとバス【毎週ショートショートnote】

快晴と満月は兄弟だ。 兄の快晴が生まれた日は、雲ひとつ無い抜けるような青空の日だったから「快晴」。 満月は窓の外に綺麗な中秋の名月が見えた日に生まれたから「満月」。 親の名付けセンスはどストレートだった。 快晴が生まれたときは、家族は商売をしている母親の実家に住んでいたから、祖父母や伯父、従業員の人たちにさんざん構われた。 大人に囲まれていたから、話し始めるのも色々なことを覚えるのも早かった。 満月が生まれてからは、親が実家からすぐ近くの場所に家を買ったので、満月の遊び相手は