あるべき成仏宴【毎週ショートショートnote】
目を開くと虹が見えた。
広場に集まっている自分と似たような者たちが、食べ物や飲み物を囲んで、賑やかに話している。
「大好物を死ぬ前にもう一度食べたかった」
「もう少しあの人と一緒に過ごしたかったわ」
「僕は病気になったから、全然生きられなかったんだ」
口々に生前の心残りを話しながら目の前にある物を食べている。
自分の前には生前と同じ食事とまんじゅうが1個あった。
幼い頃に隙を見て囓って以来、食べる機会はなかったから、心残りだと思われたんだろうか。
「お、新顔だね」
「美