見出し画像

チーム力と個々の強みを生かす「マトリクス組織」

年度末。新年度に向けて新しい組織づくりや人事制度を検討されている法人も多く、日々、制度設計で頭をフル回転しています。実は私たち社労士法人の組織も昨年末に新しくしました。まだ始まったばかりですが、すでにしっかり機能していっています。
 ということで、今回は私たちの組織についてご紹介したいと思います。

<目次>
1.私たちメンバーの特徴
2.人が増えてきた・・・さてどうするか。
3.時間は有限、でもやりたいことがたくさんある。成長もしたい。
4.これからのチームのありかたを考える

1.私たちについて

代表の私は子どもが6人。高校2年生から2歳までの子を育てています。一番忙しかった一昨年は、朝の3時頃起床して仕事を始めて、中高生と幼稚園児のお弁当、朝食、離乳食を作って(幼稚園と保育園の送迎は夫が担当)、17時半頃まで休憩なしで仕事をしてスパっと切り上げて保育園のお迎え、夕飯づくり・・・というスケジュール。今は離乳食と幼稚園がなくなったものの、時間の使い方は変わらず、2歳児の夜泣きやイヤイヤ期と上手く向き合いながら仕事をしています。
 私以外は20名。(育休中のメンバーや来年度から入ってくる人も。)短時間勤務は4人くらいなのでほぼ常勤メンバーがガッツリ仕事をしています。ガッツリ、といっても残業はしませんが。特徴は全員女性で子育て中の人がほとんどであること。自社社員が使える保育園も運営するなど、徹底した両立支援体制を開業3年目から9年間、ずっと実践してきています。一方で子どもが大きくなってくると、今度は親の介護とか、子どもの受験とか、学校での悩みとか・・・いろいろ複雑になってくる人も増えてきています。仕事をする上ではこれらは何かしらの障壁になるかもしれませんが、私は決して「問題」とは捉えていなくて、子どものために全力で応援したいとか、大切な親のサポートをしたいとか、子どもが悩んで苦しい思いをしているときに寄り添ってあげたいとか・・・そういう気持ちって人として当然の欲求だと思うのです。そういうものたちを一つも取りこぼすことなく大切にしながら、でもそのとき、そのときに全力で仕事ができるようにしていくにはどうしたらいいだろうか、そんなことを考えてできあがったのが今の働き方。時間も場所もかなり自由度が高い働き方をしています。

2.人が増えてきた・・・さてどうするか。

みんながそれぞれのプライベートを理解し合い、受け入れ合い、協力し合えるのが私たちの良いところでしたが、15人、20人と人が増えてきて皆それぞれが自由で、案件も多岐にわたってくる、でも残業はできない・・・
そうなってくるとさすがにマネジメントもしっかりしていかなければならないなと思い、組織づくりについて私なりに考えるようになりました。

普通の会社のように、管理部、営業部、商品企画部などの縦割り組織にしてしまえるほどのリソースはなく(基本、みんな全員野球でやってきたため)、それぞれの得意不得意を補いながら可変的にチームを編成してやってきました。これを何とか組織の枠に埋め込むことができないか、そう思ったときにドンピシャだったのが「マトリクス組織」でした。

組織図

イメージはこんな感じで、縦割り組織ではなくそこに横串を刺してプロジェクト単位で企画チーム・給与・手続きチーム・コンサルチームからメンバーをアサインするというもの。さらに縦軸のそれぞれのチームは兼務することができるので、ある案件では企画として関わり、ある案件ではコンサル実行部隊として関わる、そんなことも可能です。それぞれのチームが機能を強化するように話し合い、時には横断的にディスカッションしたりしながら進めているので、特定のメンバーが固まることなくさまざまな化学反応が起こせることが魅力だなと感じます。もちろん私も普通に担当を持って実行部隊の一人としてやっているので、ほぼメンバー全員と何かしらの案件で関われる状態を作ることができています。今まで無意識でそんな風にやってきたからか、改めて組織化してからもそれほど混乱はなく、より意識的に組織化が進められているのもありがたいことです。

3.時間は有限、でもやりたいことがたくさんある。成長もしたい。

メンバーの時間が無限にあるのであれば、属人化して責任をもって何があっても仕事をやりきれ、と言うことができるのかもしれないですし、やりたいこと全部チャレンジすればよいと思います。でも時間は有限で、誰にだって想定外の出来事は起こります。多くの組織で見られる傾向としては「会社に迷惑をかけてはいけないからチャレンジを控え、仕事をセーブする」という状況。でもそれってとてももったいないことだと思います。「じゃあ全力で仕事ができるようになるのはいつ?」と問いかけてみたとき、「いつか」は一生訪れることがないかもしれません。
そうであれば、今やりたいことを全部やればいいと思うのです。一つ一つの関わり方に緩急をつけて、どっぷり足を踏み入れてみたりちょっと足先をつけるだけでもいい。効率的な方法を生み出したら短時間でも濃密なかかわりができたりもします。経験し、実践してみることが大切で、それをフォローしてくれるチームがあれば実現する、そんなことを実感できる組織をつくりたいと思いました。

4.これからのチームのありかたを考える

年度末に一人一人と面談をしたのですが、改めてみんなプライベートでいろいろあるなあということを感じました。でも仕事では皆、ものすごいパフォーマンスを出してくれています。チームでやっているからといって無責任な人は一人もいないし、何とかやり切ろうという意識を持っています。
 まだまだ試行錯誤の段階ですが、メンバーを見ていて思うのは、それぞれの事情に合わせて働き方をカスタマイズしていくことが個々の力を存分に発揮できるようになる一番の策なのではないか、ということ。
働き方のルールや制度、秩序を作っていくのが社労士の仕事ではあるのですが、いかに自由を保障した上で組織やチームをつくっていくか、ここが大切なのではないかな、と実感する日々です。
そして私たちの仕事は幸いにも働き方の自由度を高めることが容易にできますが、そうではない仕事もたくさんある中で、社労士としてもともっと組織のあり方というものを考え抜いて提案できるようになっていけたら・・・と思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?