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【参加企業紹介】山中産業株式会社

昭和25年創業、京都の伝統産業である西陣織加工業の技術を活かし、70年以上も繊維技術にこだわって事業を展開されている山中産業株式会社。就任20年目となる4代目の鈴木社長や鈴木取締役、そこで働く社員さんにお話をお伺いしました。

【創業以来、新たな取り組みを行い続ける山中産業株式会社】

鈴木社長:私が4代目になるのですが、元々は西陣の織物の加工をやっていました。1980年頃までカットリボンや毛糸の玉巻きなどの委託加工業などをやっていた時期があったのですが、委託先から年々仕事が少なくなってくるということから、自社製品をやっていかないといけないと思い、色々と試していきました。

1981年にはティーバッグ用のメッシュフィルターを開発し、それが徐々に伸びていきました。テトラ型のティーバッグを開発したのは先代です。今は、お茶等のティーバッグ・コーヒーのドリップバッグが事業の中心となっていますが、クリスマスのオーナメントやリボンなどのラッピング資材などの製作・販売もしています。

山中産業 鈴木社長

松井さん:オリジナル商品を作りたいと言われるお客様にも対応しています。例えば、ハート型のティーバッグを依頼されて商品化するなど、他社がやらないことをどんどん受けるのは、うちの強みですね。

鈴木社長:オリジナル製品の要望には、先代の頃から応えています。うちはどちらかというと別注対応が多いですね。形状を独自で考えたり、印刷のデザインにこだわったりと細かく対応しています。他と違いをつけて価格競争に巻き込まれないようにしています。また、今後は同じ技術をもとに違う用途に広げるなどして、商品の可能性を広げていくことにも注力したいと思っています。

【まずは「やってみる」、継承される山中イズム】

一つの事業だけでなく色々な事業を展開されている山中産業株式会社。お客様の要望に答えながら、他ではやらないことを取り入れ柔軟に対応している社員の皆さんから見た風土や仕事についてお聞きしました。

松井さん:入社当時から、あまり堅苦しくは感じたことはなかったですね。

秋山さん:「これをやりたい」と相談をすると「やってみたらどうか」と対応してくれる、個人の裁量が大きい会社だと思いますね。

園内さん:各拠点によって色は違うなと思います。本社はアットホームな雰囲気がありますが、野洲の工場では技術者が集まるため完璧主義者が多く、仕事にプライドを持って熱中されている雰囲気がありますね。

お客様から相談してもらえるのは有難い。難しいことでも、知識を持っている人たちと協力して考え、どこまで応えられるかきちんと返すべきと思っている、と話す鈴木社長。

失敗を恐れず挑戦させてくれる会社であること、それは昔からお客様から言われたことを「やってみる」という精神からきている、そこから色々なノウハウを経験して技術力に繋がってきているのだと社員さんたちも続けて話されていました。

【社外プロジェクトを取り入れ、変革を】

ワーククロスへの参加以前から、Work Act Quest(※経営者・幹部層と社員が一緒になり働き方を考えるプログラム)にも参加いただき、社員の中からチームを作り、新しく社内の改革を始められた山中産業株式会社。今回のワーククロス参加に至るまでの経緯や想いをお聞きしました。

鈴木取締役:コロナ禍のタイミングで会社に加入したこともあり、もっと社内の人と関わっていくことで交流を深めたいと思っていました。その中で組織づくりに目を向けたワーキングの相談を受け、技術や知識の研修だけでなく、今の時代になって生まれ変わっているような考え方に沿った形で、改めて会社を見直すことが必要だと感じていたところもあり、まずはWork Act Questに参加をしました。同じ思いを持っている人たちと悩みを共有し、築かれた歴史を守りながらも前進できるものがあるかなという期待からの始まりでもありました。

Work Act Questに参加した際にとった社内アンケートでは、スタッフから「一人一人は頑張っているが会社からのビジョンやミッションが明確に分からないのでモチベーションが上がらない」という声も。そこから社内ベクトルの一本化に向けスタートした、社内プロジェクト『さくらワーキング』。職場環境の整備を進めながらの気づきも、このワーククロスへの参加のきっかけになったようです。

鈴木社長:どうしても仕事が特定の人に集中する傾向があるので、より自分事で仕事に取り組む人が社内に増えてくると有り難いのかなと思ったことも参加のきっかけです。そういうことは意識して作っていく必要があり、少なくとも3年位は続けないと定着しないと思っているので、腰を据えて続けていく必要があるのかなとも思っています。

鈴木取締役:誰かがやってくれるのではなく、皆でそれぞれが気づきを持って、考えて行動することが大切だと思います。普段の業務以外でもお互いを認めあう企業風土ができることにより、それぞれが活躍したり生き生きとできる会社になれば嬉しいなと思いますし、そうなってほしいという夢があります。そのために、中核となってくれるような方々にも今の活動が広がっていくように、今回の3名に参加してもらうことにしました。

‐実際にワーククロスに参加されている3名は、現時点でどのような感想や気づきをお持ちでしょうか?

園内さん:何をするんだろうという気持ちからでしたが期待をしていただいているのだから頑張ろうと思いました。会社のことについて深く知る機会になり、人間関係も深くなり仕事もスムーズになったように思います。

トライアルにも参加したのですが、型にはまらない研修だったことが印象的でした。そして他社さんのお話を聞くワークが印象深く残っていて、他の会社の方と話す機会は貴重だなと思いました。皆さんの力や知恵を借りて、変化だけでなく守るべきものを大切にしてこそ、さらに風通し良く前進できるものがあるのではと思いました。

松井さん:突然呼び出されて嫌な話かと思い構えていたのですが、それがワーククロスでした。まだまだ2ヶ月くらいでは分からないのですが、純粋に他の会社の人と話すのは楽しいですね。最初の第一声は断らないつもりでいました。それはやってみないと良いか悪いか分からないからです。やらせてもらえるのなら、やらないと勿体ないのかなと思い参加しています。

秋山さん:トライアルでコミュニケーション系が多かったことは、嫌だなと思いました。苦手なことは伝えておく方がお互い良いと思い正直に伝えましたが、風土を変えていきたいという会社の熱意を感じたので、僕にできることがあったら、と思い受けさせていただきました。

実際に参加して、会社の皆がこんなことを考えながら働いているのだなということが知れて良かったです。反面、今やっていることが会社の目的を探しているのか、居心地の良い会社を求めているのか、どちらのことを考えているのだろうと思うことがありました。居心地の良さを求めることばかりに少し疑問を感じ、会社の目的を置き去りにしてしまっても良いのか。仕事の中でワクワクすることをもっと皆で考えていけたら良いですね。

外部へのプロジェクトも積極的に取り入れ、社内に新しい風を吹き込んでいく山中産業株式会社。そこには何に対しても「やってみよう」精神があり、従業員皆で仕事を楽しもうとする姿が感じられます。新しいことにチャレンジをしていく風土を受け継ぎ、古き良きものを守りながらも変化をしつづけます。最後に、今後の期待や想いについてお聞きしました。

鈴木取締役:いま取り組み始めていることは経営層にも活動報告をしていますが、今までに無かった視点や感覚を巡らせて、刺激を受けていると感じています。参加者たちにとっては、見えにくい部分もあり大変かとは思いますが、確実に少しずつ動き出していると思うので、私自身はもっと皆に伝えていかないとと思いました。

秋山さん:社外に出ることで仕事を楽しんでいる人と出会えて仲間意識が生まれて嬉しく思います。仕事を義務ではなく自己実現の場にしたいと思いますし、働く目的の達成に向かう中に働きやすさを考えていくこと、その前提を共有できる機会をつくっていただけると、もっと仕事を楽しくできる人が増えて会社の空気が良くなっていくと思います。

園内さん:やっている内容は難しいと感じることも多く、「そういう考え方をしたことがなかったな」と気づきも多いです。他社さんから、様々なお話を聞いて色々な切り口から仕事を見れることや視野を広げることは大切にしていきたいなと思いました。ワーククロスを通して、自分の推しどころや良いところを見つけ、伸ばして足りないところを他から補おうと刺激になりました。