D&D5e『ロックポートの迷惑亡霊』

 所属するオンラインサークルで「D&D暇つぶし卓」を立てることにした。これは、キャンペーンゲームを中心にやるうちのサークルでメンバー欠席などでキャンペーンが急遽中止になった時にさくっと回す用のキャンペーンセッティングだ。

 舞台となるのはフォーゴットンレルムはウォーターディープのすぐ近くにある小規模な都市、ロックポート。ここを中心に活動する冒険者達の小さなお話を積み重ねていくのが、本暇つぶし卓のお話。群像劇みたいなものになる予定。

ロックポート

 PC達は「ポーラスのまえあし亭」という酒場兼宿屋に屯する冒険者。白毛の大型犬「ポーラス」がいつも寝ている酒場が印象的で、主人は「片腕の」マシアスという義手をつけた元冒険者。

 今回の冒険では女好きのハーフエルフのバード、ジョーイとカタコトでしゃべるハーフオークのバーバリアン、トゥースの二人が主人公。ある日、ポーラスのまえあし亭でジョーイとトゥースがかつての自分達の冒険を曲にして歌っていると(おひねりもある程度もらえていました)、酒場に謎の老人の亡霊があらわれ、やれ曲が整ってないだの歌詞のセンスが最悪だの言いたい放題言って場を白けさせた挙句、そのまま消えていく。店主に慰められただ酒を飲んでいた二人は、口ひげを生やした怪しげな口入屋「カロッゾ」から、あの迷惑な亡霊の出所を突き止めて撃退したら銀貨八枚やろう、と話を持ち掛けられる。まぁ一日の小遣いとしては悪くない。二人は金貨一枚にまで金額を引き上げた上で、調査を始めた。

 まず被害のあった高級宿「淑女の魂」亭に行くが、明らかに不審な二人組だったので追い返されてしまう。
 ついで被害のあった民間の劇場「ユニコーンの角」で、芸人組合の仕事でやってきたと話して劇場に入れてもらい、大根役者の演じる喜劇(偉そうな騎士様がゴブリン退治をしようとしてゴブリンにコテンパンにやられる話)を見ていると、そこに亡霊が乱入してくる。ここでジョーイは<芸能>判定で劇の一部として、退屈な劇を妨害する亡霊を撃退する、という役を演じ、これが大成功。亡霊は不機嫌になり、ジャックモンドという名前を吐いて去って行ってしまう。観客からのおひねりや講演の依頼などを受け流しつつ、港湾地区にジャックモンドが住んでいたという情報を手に入れて、次は港湾地区の安酒場へ。
 「ダイヤモンドスパイダー」という荒くれものやごろつきが集う酒場に行き、安酒なめなめ話を聞いたところ、ジャックモンドは生前人の芸をこの酒場でさんざんにこき下ろして叩きだされたとのこと。住処を教えてもらったので、一行は(一晩休息して次の日の昼に)ジャックモンドの住処に向かってみることに。

 ジャックモンドの住処はバラック小屋が立ち並ぶ当たり。強烈な寒気を感じるトゥースの感覚を頼りに探し当てると、廃屋にはなんと動く全身甲冑、強力な魔法生物のヘルムドホラーが。
 これに対し、ジョーイは持ち前の演奏をヘルムドホラーの前で披露する(今までトゥースは合いの手でカホンを叩いていたが、"足を引っ張りそうな気がする"とのことでここでは遠慮していました。叩けばよかったのに)
 ヘルムドホラー君は演奏が素晴らしかったので拍手。それはそれとして「通してよ」というPC達に対し、(誰かが文句を言うかも)というそぶりを見せつつ拒否。押し問答しているとジャックモンドが現れ、「居場所を提供してやっているのだからこいつらを切り殺せ!」と激怒。なし崩し的に戦闘が始まる。

 ところで、ヘルムドホラーは物理抵抗持ち、トゥースも物理抵抗持ちで両方とも大層硬い。ヘルムドホラー君は突き飛ばしをして追い払おうとしたり、殺せと言われても剣を一本だけ使って怪我して帰ってもらおうなどとあまりやる気がなさそう。これは逃げの目もあるぞ、とPC達は一旦退却する。
 魔法武器を手に入れてくる案は予算の関係上却下。ヘルムドホラーの来歴を調べてみると、護衛用のマジックアイテムとして貴族の屋敷に輸入されたものの、隙を見て逃げ出したヘルムドホラーがいるとのことで、意志を持ったインテリジェンス・アイテムの一種ではないかと判断する。ポーラスのまえあし亭に一度戻り、格安で働いてくれる用心棒はいるか、と打診。なんだったら面接しようかというマシアスのところに、PC達は「基本的に歌や踊りや噂話なんかを聞いて立ってるだけでいいから」とヘルムドホラー君を勧誘して連れてくる。(勧誘の時、彼は木板に字を書いて会話してました。)

 「モンスターじゃねぇか!」とびびるマシアスにびびるヘルムドホラー。しかし面談してみると思いのほか真面目な性格にマシアスは気に入ったらしく、ポーラスさんも「いたけりゃいれば?」と黙認の方向。彼はポーラスのまえあし亭の暖炉脇に立つ謎の甲冑として居場所を確保した。

 さて、守りを失ったジャックモンド家。地下室には「全ての未来ある若者達を憎む歌」という禍々しい呪物の詩がみつかる。内容を読んでみるとどうもジャックモンドには詩の才能がなかったようで、素人の作品よりはできているが、プロの作品としてはちょっとこう…という出来。「燃やせ燃やせ!」と火をつけているところに慌ててジャックモンドが帰ってくるが、詩が燃え尽きると同時に亡霊も胡散霧消する。

 2,3日おいてもあの迷惑なジャックモンド爺さんの亡霊は消え去り、ジョーイとトゥースは金貨一枚の報酬と、ジャックモンドの住処から拝借したとても高価なペンの売却代金貨50枚をせしめ、ポーラスのまえあし亭には新たな用心棒が追加されたのだった。(経験値1000XP)

 個人的にはトゥースが時折いれる突っ込みが大好きでした。「オデ、これ悪いのジョーイだと思う」とか、冷静に突っ込んでて面白かった。


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