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良い旅を(演歌財布を買いました)

タイトル通りです。



購入のきっかけ

4月末の合唱公演を無事乗り切りソロも歌いきり5月から復職。GWには父方の祖母が他界、その法事も終わりました。
そんなこんなで去年あったいろいろなこともようやく乗り越えられた! 気がする! わたしとても頑張った! ここで己を労わずにいつ労うのか! 
……ということで(去年も色々お買い物しているけれど)節目の記念として自分に買おうと思いました。しかし歌を歌って「演歌」財布を買うとはこれいかに。
お財布にしようと思ったのはそれまで使っているものが考えてみれば購入してから10年近く経っていること、購入した当初はとても惹かれた色(モスグリーン)だったけれど自問自答ファッションを通じて自分の好きな色・身につける色が絞られてきた今、色味がちょっと今の好みではないんだよな……と思っていたこと。
そんなわけで実は2月頃から、駅ビルやデパートに行けるタイミングがあった際はちょこちょこといろんなブランドの財布を試着ならぬ試し持ち(?)をしたり、ファッション雑誌のサイトのお財布特集を見たりしていました。


お財布の条件

・二つ折りであること
・小銭入れがポケットになっておらず、お財布を開かなくても中身が出せること
・ロゴが目立たないこと
・色が青系のきれいな澄んだ明るい色であること。次点で白、ベージュ、シルバーまではあり。黒はバッグの中で目立たないのでなし。
・金具が銀色、少なくともイエローゴールドではないこと
・手触りが良いこと

色々お店を回って店員さんとお話した結果、機能面については絞り込めたのですが、後半4つがなかなか難しい。
ちなみに後半4つ、実はバッグを探したときとほぼ同じ条件です。当時もつくづく痛感したのですがわたしはゴールド、特にイエローゴールドが目にうるさく感じてしまう体質のようです。一方で世間的にシルバーはカジュアルなイメージを付与されることが多いのか、バッグ探しのときは金具が銀という条件だけでものすごい勢いで絞り込まれて、むしろ選択肢がなかった感すらあります(とはいえ最終的に購入するバッグを白にするかペールブルーにするかはものすごーーく迷いました)。
春夏の品物はきれいな色のものが多く、今年はミントグリーンが流行りのようなので青系の澄んだ色のお財布はすぐに見つかるだろうと思っていたのですが、実際に手に持ってみると「うーん……?」となることも多く。
ちなみにこちらの2024ssのグッチのお財布は、候補としてかなり迷いました。

https://www.gucci.com/jp/ja/pr/women/small-leather-goods-for-women/card-coin-cases-for-women/mini-wallet-with-gucci-script-p-7726390OP0N5909

外がピンク、内側が青という「ゆめかわ」仕様でコインケースを開けるたびにうっとりしたのですが、手に持って鏡に映る自分を見てはうーん……となってしまい、決定打に至らず。
ちなみに手触り、という観点ではロエベとジルサンダーのお財布の手触りも良かったです。特にロエベ、さすが皮のブランド。しかもロゴが銀色。あの手触りだけでぐらっとくるものがありました……。

そんなこんなを繰り返し、これはもうよく行くデパートに入ってないブランドも試すしかないのかも……と意を決して向かったのがルイ・ヴィトンの路面店。
ルイ・ヴィトンはバッグ探しの際にも気になって、でも路面店突撃は怖くて勇気が出ず(そもそも店舗の場所自体認識していなかった)、結局バッグ購入後に店舗をのぞいたブランドです。海外からのお客様を迎えるためドアの開いたタイミングで若干おどおどしつつ入店した大変不審なお客ことわたしにも、穏やかな物腰の男性スタッフはお店中をぐるりと案内し、展示しているアート作品についても説明してくださったのでした。

最初に見せてもらった二つ折りの紺色のお財布は当初こそ鞄の中で目立たないしなーという印象だったのですが、実際に手に持ってみると黒より肌に馴染む感じで結構良いかも?……と2回ほど店頭で見せてもらい、某店舗ではイベントのご案内もいただき、かなり気持ちが傾いていました。
が、その後、祖母の容態急変等でばたばたしてしまいイベントにも行くことも叶わず。そうこうしているうちにお目当ての色のお財布の在庫は無くなったようだとサイトで確認することになりました。
ああこれはもう縁がなかったんだな仕方ない、長期戦で行くしかないなあ……。
と思っていた所で、 ミントグリーンのお財布が新たにサイトに掲載されているのを発見しました。そう、青みがあって澄んだきれいな色のお財布です。
日本限定品でお値段ちょっと高め、時短勤務のいまの自分にとってはなかなか、いや大変良いお値段ではあるのですが。
あるのですが。

……でもわたし、今回すごく頑張ったもん!
わたしがわたしを労るのにここで妥協してどうするんだ!

というわけで路面店に予約を入れ(この時、初めてお店にお伺いした時にお品を見せてくれた方に連絡を入れればよかった……と後でちょっと反省しました)、お店に向かいました。


ヴィトンは香水もすごい

ところで最近はとても暑いので、ヴィトンの路面店で行列すると日除けに黒い傘を貸してもらえます。
そんなわけで予約の少し前の時間から並び、いざ店内へ。

週末の路面店はインバウンドのお客様も大変多く混み合っていましたが、このお客さんは以前からお財布を探しているぞ、という情報はちゃんと共有されているらしく、こちらが説明する前からお財布をお探しですか、と言われました。青系で、二つ折りの……とお伝えしてお目当てのものを出していただいたので早速試し持ち。うん、違和感なし。
(ポエムは流れず、違和感ないねー、で終わるタイプです)
ではこちらを……ということでお取り置きいただき、他に何か気になるものはありますかと訊かれたので、実は香水が気になっていて……とお伝えしました。

ルイ・ヴィトンの香水の魅力はラグジュアリーでハイクラスな調香。天然素材や品質にこだわった香料原料を使用しています。
インハウスパフューマー(ブランド専属調香師)であるジャック・キャヴァリエ氏が、予算を度外視して自由にのびのびと表現する世界観が大きな魅力です。
(中略)
ジャック・キャヴァリエ氏は、「調香界のモーツァルト」の異名をとる、天才サラブレッドパフューマーです。
※世界3大調香師の1人とも言われるほどの実力者で、多くのブランドの香水を手がけ、大ヒットに導いてきました。

https://coloria.jp/magazine/articles/skBi1

この、何がなんだかさっぱりわからないけど、とにかくヴィトンの香水は凄いんだな……という紹介文を読んで以来、一度試してみたかったのでした。

これからの季節に合いそうなものを見たいのですが……ということで、オリエンタル系以外のジャンルから気になるものを10点ほどムエットで嗅がせてもらい、最終的にすずらんの香りの「アポジェ」、オレンジとジャスミンの香りの「ルジュール・スレーヴ」が気に入ったので後者を肌にも付けてもらいました。
やっぱりフローラル系が好きだなと思いつつ、素人目にもこれは絶対ものすごい技術を使っているぞ、と思ったのはアメリカ西海岸の風景をイメージしたシリーズ。スムージーの香りとか爽やかな海の香りとか、おそらく殆どのブランドが人工香料をたくさん使うであろうタイプの香り=わたしが苦手とするタイプの香りなのに、とても上品で心地よい!
こういう、フローラル系などではないタイプの香水は、つけた直後に香りを嗅ぐと香水そのものの香りより先にアルコールの匂いが先に来て香水本体の香りがわかりにくいことがよくあるのですが、ヴィトンの香水はどんなタイプの香水でもそれが全く無く。肌馴染みがよくていかにも香水つけてます! という感じにならず上品なのに、この暑さの中(この日の最高気温は26度でした)、帰宅してからもふんわり香りが残り続けていました。
なんというか、これは大変恐ろしいものを見せてもらったぞ……という気がします。季節柄、重たい香りやレザー系の香りは嗅がなかったのですが、いつか試してみたいなと思います。


わたしのもの、受け継ぐもの

香水を見せていただいた後は青系がお好きということで……とちょっと珍しいお財布を見せてもらい、後なにか気になるものはありますか? と訊かれて、実は……とスタッフさんにご相談をしてみました。

実家には幼い頃から、ヴィトンのバッグがありました。
およそ五十年近く前。わたしの母がまだ若く、日本円が今と違ってとてもとても強かった頃。ヴィトンのバッグというのは働き出したばかりの若い女性社員でもちょっと背伸びをすれば買えないことはない、そんなお値段だったのでした。

おそらくスピーディ30と思われるそのバッグは(買った本人が覚えてないのでサイズ感から推量しています)、わたしがブランド名などひとつも知らない頃から家のクローゼットにありました。あまり大きいバッグではないこともあってか家族が実際にそれを使っているのを見たことは一度もないのですが飴色の持ち手がとても綺麗で、いつか自分がこれを使えないかなあ、例えば一人旅のときとかに……と、中高生くらいの頃から思っていた気がします。
そんな訳で夏の短い旅行の際など、使えそうな際に使っていたのですが……現実問題、革のハンドルしかないバッグというのは旅行の際はちょっと不便で(購入した母本人はお弁当を入れて会社に行ったりおむつを入れていたそうですが!)。
一方で数年前から肩掛けバッグというのが流行りだし、スピーディもバンドリエール、肩掛けバンドを付けるタイプのものが出始めているのをサイトで確かめていました。

こういうものがありまして。
五十年前のものなんですが、バンドを付けて使いたいんです。

携帯の写真フォルダーからバッグの写真を出してみせると、スタッフさんはバックヤードから実際のバッグを持ってきて、お持ちのバッグはこちらでしょうか、と見せてくれました。
あっそうです、これです。
頷きながらびっくりしました。写真とはいえこうして改めて並べて見ると、ハンドルの色がぜんぜん違う。
新品のスピーディのハンドルはまさしく肌色という表現がふさわしい淡いベージュですが、実家のスピーディのハンドルはアンティーク家具のような光沢のある茶色です。その一方で、バッグ部分の色はほとんど同じ。わたしの言葉にスタッフさんがすぐ説明してくれました。

スピーディはバッグ部分にはキャンバス地を使っているので、この部分には経年変化がほぼありません。でも、ハンドル部分はなめし革を使っているので、お客様が使い込むほど色が変化していきます。使い込んでからも違和感がないよう、ヴィトンのバッグのステッチの糸は白でなく、黄色を使っているんです。
スタッフの中で古くからいる者にも確認しましたが、このタイプでしたらハンドル部分の金具にバンドを引っ掛けてお使いになると良いと思います。なめし革でなくキャンバス部分の色と合うようなバンドがいいかもしれません。

……説明を聞きながら、なんだか報われたような気持ちになっていました。

わたしは幼い頃からお下がりやら何やらがたくさんあって、こういうものが欲しい、と言っても既にあるこれを使えばいいじゃないと言われ続けてきたようなところがあります。だから、わたしの自問自答ファッションはいいものなのに棄てるなんてもったいないと言う心の中の母と対決すること、大量のお下がりを捨てるところから始まりました(参考)。

捨てたいもの、捨てるべきもの、逃げたいものは沢山ある。
でも、受け継ぎたいものだってある。過去も親族も、どうしたってわたしの一部なのだから。

ずっと使っていてくださったんですね、有難うございます。

そう言ってくださったスタッフの方が若い女性の方だったというのも大きかったのだと思います。母の親戚でもない、何だかんだいって君は裕福な家のお嬢さんだよねと揶揄する友人でもない。
手放さなければと思ったわたし同様、受け継ぎたいと思ったわたしもまた間違っていなかった……大げさに言えば、そんなことを思ったのでした。

お財布には、金のイニシャルを入れてもらいました(無料サービス)。
こちらでお願いしますと伝えたときに買った実感は全然なかったのに、イニシャルの捺されたお財布をトレイに乗せて見せてもらった時、ようやくじわじわと嬉しくなりました。
わたし、本当に頑張ったよなあ。

それにしてもこちら、昨日追加納品されたばかりのラスト一個だったので本当に良かったです!

そう笑顔で言われたときには内心、ぎゃー!と叫んでしまいましたが(シーズン物はすぐなくなるんだそうです……)。


お披露目です!

というわけでお財布、お披露目させてください。

オレンジもブルーも綺麗だなあ
バッグから取り出しました
引出しになってる!
すすす……
じゃーん!


以下はちょっとした演歌です。
去年も何度も書いた合唱団を辞めた話などを含むので、適宜読み飛ばしてください。


ちょっとした演歌と呪いの話


リカバリークロス、電池式マッサージ機、コルセット、アミノ酸ゼリー三つ、アミノ酸ドリンクペットボトル一本、アミノ酸サプリ一包。
4月末の合唱公演に参加するために準備し、使ったものです。
歌うのは6曲、トータル30分程度。4曲リハが2回に本番が一回。休憩あり。

関係者さんが目にすると申し訳ないかなと思ってあまり言っていないのですが、わたしのコロナ後遺症発症、あるいは自覚の切欠は合唱の練習でした。

感染したのが昨年の8月上旬、月末に公演があったため、隔離期間が終わってすぐに練習に参加しました。その日は元気に練習できたのですが翌日全身に筋肉痛と倦怠感が出て、何だこれは……???と思いながら出かけたものの思っていた以上に怠さがひどく帰宅。翌日は在宅勤務だったのですが、出勤して会議に参加した日の翌日、ひどい倦怠感で一日寝込んでしまい、これは明らかにおかしい……となったのでした。
結局、家族がコロナに感染したこともあり月末の公演は欠席したのですが、倦怠感症状を押して出演していたらとんでもないことになっていたと思います。

後遺症対応病院に行き、薬を処方されて少しずつ良くなり、11月の別の公演には出ようと頑張っていましたが、歌ったら「また」悪いことが起こるんじゃないか、という不安は消えませんでした。歌うことが好きなのに。
わたしは一人暮らしと転職を機に、今まで激務でできなかった、だけどずっとやりたかったことをやろうと思い、SNSで知った合唱団に飛び込みました。メンバーの中で自分が一番素人なのはわかっていたけれど合唱団繋がりでバンドのボーカルに呼んでもらったりする中で少しずつ自信がついてきた頃、主催の運営方針や自分に対する暴言に抗議した結果、辞めることになりました。
今後どうするのか、新しい合唱団に入る目途もないけれど、でも楽器をやれる場所、ボーカルとしてやれる場所はあるからもっと自由に楽しく歌っていきたいな……そう思っていた矢先の、コロナ感染でした。

ずっと、早く元に戻らなければ、と思っていた気がします。
早く体調を戻して、早く歌えるようになって、そしてかつて所属していた場所で受けた酷い扱いについて、ああそんなこともあったねと笑って言えるようにならないと……と。
でも、中々思っていたようなスピードでは回復しないし、歌ったらまた症状が悪化するのではないかと不安になる。SNSを見ればちょうど辞めた合唱団のメンバーが公演旅行に行って楽しそうにしている様子がリアルタイムで見られる。見てしまう。別の場所でやはり合唱でご一緒した方が事故で亡くなられた、という連絡が来たのもその頃のことでした。

辞めたけど、どうにかして戻れないだろうか、と。

在籍当時相談に乗ってもらっていた合唱団メンバー数人にLINEグループに意を決して、しかし血迷って連絡したところ、その殆どが沈黙、あるいは気遣うような言葉をくれましたが、一人だけ、いや何を言っているんだと言わんばかりの反応がありました。自分の発言が招いたこととはいえ、ショックでした。
ごめんなさいごめんなさいみんな公演中なのに変なこと言ってごめんなさいと平謝りに謝って……多分このあたりから精神面のバランスも倦怠感についても、症状は更にひどくなっていきました。
(コロナの後遺症は抑うつも症状に含まれ、各種症状はストレスにより悪化することが分かっています。とはいえこれは誰が悪いというものでもないだろうと思います)

なんであんなこと言われなきゃいけないんだろう。
いやわたしが悪かったんだ。
何も言わなかった人たちも、内心ではわたしに怒ってたんじゃないか。
歌うのが怖い。みんなが怖い。
怖い。

一緒にご飯とか食べようよ、話せば少しは楽になるよ。
そう声をかけてくれたメンバーもいましたが、その時にはわたしの方が関係者全員を怖くなっており、ごめんなさい今実は後遺症で心身の調子が悪くて思考力も低下してるんです……とお断りしました。
実際、この少し後からわたしは仕事にも支障をきたし始め、心療内科への再受診も検討しましたがそれより先に頭が回らなくなり、いわゆる「何もなくても泣きたくなる」状態になって産業医に連絡、しばらく休むよう言われます。
それでもなお、11月の公演は諦めていなかったのですが。
ある日起きたら体を起こすことができず、そこからしばらく、ほぼ寝たきりになる日々が始まったのでした。

症状に合わせた運動(ペーシング)で体調は少しずつ回復し、年内には普通に立ち歩けるようになりました。
満を期して1月、(辞めたところとは別の企画団体による)4月公演の練習に行くとその日は元気に過ごせたものの、翌日は一日寝込むことになりました。
(今にして思えばここで悪化しなかったのは本当に幸いでした)
その日から散歩だけでなく、運動療法の一貫として毎日少しずつ、インターバルを取りながら歌の練習を始めました。そのおかげでしょうか、翌月の練習では練習中にこそ倦怠感症状が出たものの翌日の症状はなく、腹を決めました。
1月の練習でわたしはソロをやりたいと立候補し、楽しみだねと言ってもらっていました。
だからこそ、練習翌日に症状が出た時には他の方にも迷惑をかける、辞退するなら早くしないと……と考えていたのですが。いろいろ対処したらどうにかなるんだから参加辞退はしない、万が一体調が厳しくなったら口パクでしのぐんだ、と腹を決めました。Twitterで零していた体調に関するtweetに指揮者の先生や主催の方がfavしてくれつつ、表立っては何も言わなかったことも後押しなんだと勝手に解釈しました。
それでも本番まで、4時間の練習に何の対策もせず最後まで元気に参加できたことは一度もありません。

そんなに歌が好きなんだとびっくりした、と。
後日、当時の様子を指して友人から言われました。正直、自分でも驚きました。
対人トラブルがあって、コロナになって。冷静に考えてみればもう歌からは離れよう、諦めよう、と思ってもおかしくはない状況です。実際、復職面談の際に産業医からも趣味の合唱はしばらく休んだ方がいいのではと言われたのですが、わたしは頷きませんでした。
SNSなどでの経験談を見る限りこの症状が何もせずとも自然治癒する可能性は低く、むしろ少しずつ運動負荷を上げていった方が勝算があるようだし、再感染などのことを考えても元の体調を目指したほうがいいだろうといったこともありますが……何より音楽全部がトラウマ、触れるのも嫌で辛いものになってしまうのだけは嫌でした。
(その一方で当時、今の自分の体が動かなくても文字による表現が過去に書いたものすら、いつまでも遠くまで誰かに届く可能性があるということの可能性に慰められたのも事実です)

例えかつて一緒に歌った人達がみんな自分を見捨ててもわたしはひとりでやる。やれる。
わたしは、歌えるはずだ。
人からみればアマチュアの、演奏時間もそう長くはなく、求められる技術が格別に高いわけでもないだろう公演です。
だけどわたしにとってはそう思って臨んだ公演でした。

公演後、かつてグループLINEで相談したメンバー達と会えました。
ソロ良かったよ、やっぱりあの曲は君に歌ってほしいなと思ったよ、今度別の場所で歌おうよ……そう言われて、号泣しました。
かつて所属していた合唱団の主催の暴言にわたしは常に言い返し、反抗的な態度を取り、批判していましたが、それはわたしが主催の言動に何のダメージも受けていないということではもちろんなく、むしろ当時は主催や、主催の価値観をそのまま飲み込んだメンバー達から「一番歌の下手な格下」として扱われ、ひとりだけ高音パートを歌っても存在も声もなかったことにされるのに傷ついていたし、それはやめた後も変わりありませんでした。

(わたしの歌が下手だからこんな目に遭ったんだろうか)

それは呪いだ、とはわかっていました。
こんなつまらない呪いにあっさりかかってしまった自分が悔しかったし、ちゃんと対応すればいずれ必ず解けるはずのものだとも知っていました。だからこそ辞めた直後、今度11月にバンドで歌おうよ、と言ってくれたメンバーの言葉が嬉しかったし支えにして、でもコロナに感染して、そして誰も、何も信じられなくなって。

あなたの歌は下手じゃないと公演で一緒になった人に言われたこと、ソロ良かったよとかつての合唱団のメンバーに言われたこと、何より歌い切れたことで、ようやく呪いは解けたのでした。


後遺症が完治したわけではなく、あったことはなかったことにはなりません。当日持って行ったアミノ酸サプリなどはすべて消費して、それでも2日後から開始になった午前だけの時短勤務は二日ほど、帰宅してから夕食まで爆睡していました。今後参加したいと思える合唱団の目処はなく、今回の件をきっかけに気持ち的には切れたけれど今後も顔を合わせることになるだろう……そんな人もいます。
だけどかつてのメンバーみんなが怖いわけではなかった。わたしの歌をちゃんと聞いて、良かったよと言ってくれる人がいた。
一年弱でここまで回復したなら、悪くないほうだと思います。

……とはいえ、我ながらあらゆる意味で「荒療治」だったなと思います。それはもう、あらゆる意味で!

楽しい旅を

人生に、楽しみを一つ増やせればいいと思っています。
歌ではなく、別の趣味の先生に言われた言葉です。
何かを趣味で始めるとどうしても、上手くならなければと思ってしまう。もちろん上手くなれば楽しい、でもそれが義務になって辛くなってしまうこともあるでしょう。
だからここでの目標は人生に楽しみを一つ増やすことです。それができれば十分じゃないですか。

ルイ・ヴィトンは旅行鞄から始まったブランド、旅をコンセプトにしたブランドです。
今回のお財布は新しい門出の記念に買うんですと言うと、ぴったりですねと言われました。


楽しみの多い人生をやっていこうと思います。
わたしにはその権利がある。

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