博士課程学位審査の道のり
個人的な記録となります。私の記録がどなたかの参考になれば幸いです。前提として、フルタイムで働きつつ(事務室付きの助教)の大学院生活でした。
私の研究テーマは犬と飼い主の関係と犬の行動の関連を調べるものです。
学位論文の提出
12月頭に提出締め切りでした。前年度に1度提出を見送っていたため、1年越しの提出となり、やっと出せた〜〜!と開放感。提出直前は仕事が終わったら研究室に籠もるという生活を続けており、余裕がなかったなぁと思います。(仕事中はほぼ研究はできない)
提出後、ちょっとの開放感からのほほんと過ごしていました。何人かの先生から、出せば落ちることはないと思うよ~と言われていたこともあり、今年の年末年始はゆっくり過ごせるな、なんて思いを抱いていました。しかしそこから突然の体調不良により、年末の殆どを寝て過ごすことになりました。
審査期間
審査期間は1月12日まででしたが、年末に突然指導教員から大学に来るよう連絡が入りました。体調不良で寝込んでいたこともあり、体調と相談しつつ、大学に向かいました。
指導教員からは副査の先生から厳しい結果が戻ってきていると伝えられました。論文が審査をすることができるレベルではないというご指摘だったため、指導教員が事前に副査の先生とお話をしてくださっていました。その話し合いを経て、問題を修正できれば審査を続けてもらえることとなりました。指導教員と修正する方向性を2時間程度話し合いました。
指導教員から修正が求められている点について、副査の先生に直接確認する必要があると言われ、そのまま副査の先生の元へ向かいました。
副査の先生からも、丁寧に問題箇所に対する指摘をいただきました。詳細に説明をくださったため、指導教員と私とで相談した内容で問題ないこともわかりました。
その日は職場の研究室に直行し、修正を行う方針を固めました。これが12月28日のことでした。年末年始は実家へ帰省していたため、実家でパソコンとにらめっこ。この間、修士課程の頃の指導教員がちょこちょこと修正案についてコメントを下さり、本当にありがたかったなと思っています。
年明けの4日に指導教員のところへ向かい、修正原稿を見ていただきました。修正が足りないということで、丁寧にご指導くださり、ここで修正原稿のアウトラインが出来上がりました。あとはそれに則って内容を書き直すだけです。8日には副査の先生方にメールにて送信するよう指示を受けていたため、必死に直してメールで送信しました。
審査結果の通知
審査期間最終日を前に、修正原稿に対する審査結果が戻ってきました。問題があることを指摘くださった副査の先生から、「よく直せたね」といっていただき、審査を次の段階に進める許可が得られました。他にも2名の審査委員の先生がいらっしゃいましたが、そちらはほぼ問題なしとのことでした。
これまでの間、気が気ではありませんでした。
Web回覧
審査委員会の審査後は、研究科教員の回覧があります。そのため、事務に審査結果を受けて修正した原稿を提出する必要がありました。審査委員からの結果が出たとはいえ、また問題があると言われるおそれもあります。不安が高まり過ぎて、仲の良いT先生と論文修正合宿(日帰り)をしました。本当に感謝…感謝しかないです…。この先生がいなければ精神的に乗り越えられなかったかもしれません。
Web回覧では先生方から気になった箇所について修正指摘やコメントが入りました。私の場合には内表紙のページ数を消すように、というコメントのみでした(めちゃくちゃ安堵しました)。
発表会
発表会は2月上旬で、それまでの間論文とにらめっこしつつ発表資料を作成しました。指導教員、修士課程の頃の指導教員、仲良しのT先生に何度も見ていただき、発表に臨みました。事前に教務から、パソコンは用意してあると聞いていたのですが、パソコンはなく、自前のもので発表することになりました。事前連絡もなかったため、このときにパソコンを持参していなかったらと思うとゾッとします。この点については指導教員からパソコンを持ってくるよう言われていたので、とても助かりました。
発表者は2名おり、私は2番目でした。1番目の方は留学生の方だったのですが、最初の質問に対する回答が指導教員の納得するものでなかったようで、そこから回答ができなくなってしまってい、代わりに指導教員が回答をしていました。自分で回答したものが間違っていると言われ、パニックになってしまったんだろうと思います。自分のときもそうだったらどうしようと冷や汗が出て、落ち着かなくなりました。
自分の発表の番になり、「もうなるようにしかならない!」という悟りを開いていました。T先生も見に来てくださり、落ち着いて発表に臨めました。発表30分、質疑応答30分の計60分の長いようで短い戦いが始まりました。
発表は何度も練習してきましたし、本番に強いという性質もあり問題なく終わりました。質疑応答についても、和やかな雰囲気の中終了したように思います。質問内容は以下のようなもので、しっかりと全てに回答できたと思っています。
協力者の属性について
実験に参加する人間が異なると行動も異なる?
犬同士の親密さをどう捉えているのか?
犬が別の犬にくっついて移動するなどもあるが、それは親密さか?
どうして同居犬の行動を測定したのか?イヌそのものの行動ではなぜいけなかった?
実験条件の提示順は固定なのか?
統制的態度について改めて説明してほしい
統制的態度単体と行動の関連は?
不平等な扱いのうち、可愛がられているイヌとそうではないイヌがいると思うが、どちらのイヌかによって行動表出は異なるのではないか?
2頭目を飼った時、若い個体が攻撃的な行動を見せる場合、わざと順位をつけるよう治療場面でアドバイスすることがある。今回の結果はその反映かもしれない。(感想)
2頭の性別の組み合わせによって、行動に差はあったか?
研究デザインに甘い部分が見受けられる。しかし、この点について細密さを求めていくことが今後の研究に活きると思う。(コメント)
協力者には望んで協力してくれているというバイアスが掛かっているため、全ての関係を明らかにできていないという課題がある(指導教員からの補足)
望んで協力してくれない人に協力を仰ぐのはやめたほうがよい。今後は生理指標とかもとっていけるといいね。
発表会終了後は、主査(指導教員)と、副査の先生方にお礼のメールをお送りしました。気持ち的には終わったのに終わっていないような落ち着かない気持ちでした。
審査の通知
審査結果は審査の翌日に、メールにて通知されました。無事合格、という文面をみてとりあえずお世話になった方などに報告をしました。やっと肩の荷がおり、ホッと胸をなでおろしました。
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