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後ろから前へ2

 『後ろから前へ入っていけるのはお得』ということは、当たり前ですが飛んでくるコースにいるということです。飛んでくるコースにいるから後ろから前へ入っていけるわけで、そのコースにいなければ追いかけること、取りにいくことになります。前記事で紹介した雁行陣同士のラリーからのアプローチコースの選択についても卓上理論では理解できても、実際にやってみると難しいのはアプローチショットそのものの難しさよりは、その前のショットを打ってからスプリットまでに、次のコースへ自分のポジションを移動できているかということです。ただ自分が打ってから相手が打つまでの間の移動のことですから、デュースコートからアドバンテージコートへとか、ベースラインからサービスラインまでというような距離を動くことは時間的に不可能です。よって、私はレッスンでは『ずらし』という言葉で表現しています。相手が打ってから、そのコースに動いて打つ移動ではなく、自分が打ってから相手が打つまでの『ずらし』が後ろから前へと入っていける大きな要素となるのです。上手い人とやると、なぜかその人のいるところへ返球しているような気がすることや、上手い人は自分で相手からのボールはその場にくることが多いという感覚を持っているのは、相手が打ってからではなく、相手が打つまでの『ずらし』があるからです。#『ずらし』ができない人は必ず肉離れするよ😅  #ボールにめっちゃ走る人はたぶんわかってない😁

 では『ずらし』とはどういうことか、もう少し詳しく説明していきます。

まずは、具体的なゴールを持つことです。「何がしたいのか」というゴールです。前記事で紹介したアプローチを打っていきたいのであれば、次のようなゴールを描きます。 #ゴール (待ち)が間違ってる場合がある✋ #←本記事ではスルーしてます😄

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 ゴールからの逆算で、こういう形にしたいのなら、その前のショットでそうなるための『ずらし』が必要です。雁行陣同士のラリーで、このゴールになる前のショットがフォアハンドだった場合、次のような『ずらし』をしなければいけません。

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 上画像の一番左がインパクト時です。このインパクトからフォロースルーにかけての時点で次の右側への『ずらし』のための重心移動をかけはじめています。フォアハンドのうち終わりにはすでに右足が遊脚になっており、右側への移動が始まっています。逆に上手くアプローチに入りこめない人というのは、入りこみそのものより、その前のフォアハンドを打ってからその場に残ってしまいがちです。 #多くの一般愛好家はこれだよ 😁

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 打ち終わった後も重心はそのままの位置に置いているため、相手がボールを打ってからでないと移動を開始できません。こうなる要因としては、身体的能力の問題というよりは次の3つに分類できます。

1、どこに打ったのか把握できていない

2、自分の打ったボールを見てる(探している)

3、次のゴール(待ち)がない

 その前のショットがバックハンドでも同じです。描いているゴールのためには『ずらし』が必要です。

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 バックハンドで『ずらし』がないと次のようになります。

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 この要因もフォアハンドと同じ3つの理由になります。

 テニスという競技において、確かに相手が打ってからの反応、移動速度が速いことにこしたことはありません。身体能力が高い方が有利なのは否定しません。ただし、同じ身体能力であれば、その前の『ずらし』が差になります。また、相手が打ってからの反応、移動速度というものは年齢的な衰えが顕著です。一方で『ずらし』については、コントロールや次の予測やイメージが重要で、これらはむしろ経験を重ねれば重ねるほど高まる要素であったり、年齢的な衰えが大きくありません。

 若い頃というのは誰もが身体的な要素に恵まれています。このごく限られた恵まれた時期は『ずらし』がなくても気にならないのです。しかし、若く恵まれた時期からこの『ずらし』ができる人がいます。こういう選手がいわゆる上手い選手です。60歳を超えたケン・ローズウォールが来日した際に、女子のフェデレーションカップ代表の女子選手に練習マッチであっさりと勝利したということがあったそうです。アガシのツアーコーチをしていたブラッドギルバートも練習マッチではアガシからセットを取ったりすることがあったようです。私はテニスコーチとしてテニスを続けていましたが、10年以上全くテニスはしていないし、体型も学生時代とは全く別人になった当時のインカレ上位選手と久しぶりにテニスをしたら、全く動けないにも関わらずボロ負けしました。

1、意図を持ってコントロールする

2、相手の入り方をみる

3、次のゴール(待ち)をつくる

 この3つの要素を考えながらプレーすることが大切で、その結果『ずらし』という動きが発生します。ですから『ずらし』だけをやろうとしてもできないと思います。

 紹介した雁行陣の展開ではありませんが、フォアハンドボレーで逆クロスにコントロールした後に、それを打った私も、私のペアも、それを取りにいった人の入り方をみて『ずらし』を入れていますが、お互いに待っているところが違います。ちなみに正解だったのは私の方ですが(笑) #この僕のペアも今は上手くなったよ ✌️ #←でもまだ遅いけど😁


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