宅地建物取引士資格試験を受けてたの日記
1月半くらい前に受けた宅建士資格試験の合格証書が送られてきた。簡易書留で。
ちなみに、この試験は4択問題を50問という形式なので、理論上合格するには教科書・過去問を読んでおくか、あるいはエンピツを転がして正解を導く能力を限界まで養うか、どちらかの能力を伸ばせば合格できる。
文頭にエンピツ転がしを極めた証拠として、証書の画像を載っけたが、個人情報を隠そうとするあまりに行政機関でも許されないレベルで白塗りばかりになってしまったので、全く信用性がない。
フリー素材を拾ってきても同じ画像が作れる。
寂しかったので、白塗り部分にスーパーカッコいい文言を付け足してみた。
ところで私、髑鵝蛇丸(どくがじゃがん)は自動車免許を保有していない(あんな大っきいのがペダル3枚とハンドル・レバーだけで動くのが怖いから)ので、初めて国家試験に合格したことになる。
さて、封筒を開けて証書を手に取ったファーストインプレッションは「意外と薄っぺらいな」と「峰久幸久って如何にも威厳がありそうな名前だな」の2つである。
峰久氏について調べると、元国土交通事務次官・復興庁事務次官で退官後に理事長に就任されたらしい。
一体前世でどんな善行を積んだら、こんなカッコいい名前と社会的名誉を同時に得ることができるのだろうか。
そして、セカンドインプレッションは「登録申請面倒くさそうだな」である。
宅建士は試験合格(永続)→登録(永続)→免許証申請(5年毎更新)という、クレジットカードのワンタイムパスワード並に厳重なプロセスを経て、正式に免許がもらえる。
これを行うことで、重要事項説明書・37条書面への記名押印というアビリティが開放されるのだ。
が、このアビリティを習得するにあたって、実務経験がない場合は登録実務講習(22,000円)を受けた後、必要書類を揃えた上で登録申請(37,000円)を行わなければならない。
一部のRPGとかで魔法呪文をお金を払って習得しているのに疑問を抱いていたが、なるほど役所への手数料だったのか。
そして、試験代と教科書代を合わせても2万円程度なので、試験合格後の出費額のほうが多いという訳が分からない仕組みになっている。
なんで合格後に出費する金銭のほうが多いんだ!
加えて、登録申請時には身分証明書や住民票抄本などを提出する必要がある。ていうかなんなんだよ、必要書類の④に書いてある「登記されていないことの証明書」とやらは。
どうも法務局の窓口で発行申請しなければならない書類であるようだが、そんなちゃんとした書類ならちゃんとした名前を付けてあげろよと思う。
他の証明書が「~票」だの「~を証する」だのカッチリした名称なのに、「~されていないこと」という口語っぽい名称で毎年3万人の試験合格者に呼称されつづけている書類の気持ちになったことがあるのか。
この書類を担当した人には自らの子どもにも「~されていないこと」と名付けることが出来るのかと問いただしたい。
…手続き書類の申請書を書くのが面倒で、無茶苦茶な批判をしてしまった。
壁に話しかける延長線上の日記とはいえ、このままでは後味がよくわからない味になるので、試験当日の思い出でも書いてみる。
別に落ちてたら後で読み返したくないから当日に書かなかったとかそういうわけではない。
きっと。
…受験会場に着くと、資格講座の宣伝として宅建試験の要点をまとめた紙を配る広告集団がいた。
これから受ける試験を今広告する必要があるのか、と思ったが、後から考えてみれば受験者が落ちることを前提とした商売だったのかもしれない。ちなみに、配っていた紙はほとんど役に立たなかった。
そして、検温結果を係員さんに見せ、受験番号順に指定された席についた私はある行動にでる。
何もしないで威風堂々と座る、である。
決して右肩が痛むからという理由で教科書を自宅に置いてきたからではない。
こうすることで、強キャラ感が出るのではないかという目論見での行為である。
しかし、周りを見渡すと、付箋が大量に貼られた教科書を熱心に見ているご婦人や、自らでまとめたであろうノートを見返す青年がいることに気付き、そして怖気づいた。
よって、辛うじて持ってきていた問題集を見返すという模範的な受験生の振る舞いを見せたが、これまでの経緯を振り返れば典型的なクソザコモブキャラクターである。
さて、実際に試験が始まると、当然のことだが「これ進研なゼミでやった!」と叫びたくなる問題もあれば、「なんやねんこの問題!」と狂乱に噎びたくなるような問題もあった。幾つか引用すると、
図解すると、このようになる。
答えは、Dの妻であるAに2分の1、Dの子どもであるF・Gに4分の1ずつとそこまで複雑な問題ではなかったのだが、やはり気になるのはこの昼ドラでも繰り広げるのかと突っ込みたくなる家庭事情である。
過去問を見る限り、このように互いに子持ちの未亡人が離婚経験者が再婚すると複雑極まりない家庭が出てきたケースはないようにみえる。
なぜ、FとGの兄弟の親権を両親で分かち合っているのかとか、Aが再婚したときのCの気持ちはどうなのかとか言いたくはなる。
しかし、やはりいちばん言及したくなるのは「なぜDは遺書をちゃんと残さなかったのか」である。
たとえ法定相続分があるので、Dがその通りになるだろうと安心して亡くなったとしても、再婚相手のAと前妻との間の子どもであるF・Gの間で遺産を巡って険悪になる未来しか見えない。
この場合の正しい選択肢は「揉めないように配慮した上で公正証書遺言を残す」ではないだろうか。
もう一つ、個人的に好きな問題を挙げると
甲と乙のどちらを売買するかという選択債権について問う問題であり、問題の主意としては、債務者であるAに選択権がありなおかつ意思表示はどちらか一方にすればよいということにあるのだろう。
そうWikipediaに書いてあった(民法406条・409条2項)。正解は2である。
ただ、そんな法学的な理論よりも気になるのは「なんでこんな契約を結びやがったんだ」という疑問である。
もしかすると、髑鵝蛇丸に知識がないだけで、美術界隈ではこのような契約が日常茶飯事なのかもしれないが、よくも債権者Bはこんな不利な契約を結んだなとか、なんで第三者のDに選択権を与えるんだとか一般庶民的な目線では疑問が湧いてくる。
というか正解肢の2に関しては、Aが美術品を思いっきり燃やしているわけだが、ちゃんと管理しておけよ、売買契約結んでいるんだぞと、やはりこちらも突っ込まざるを得ない。
……上記のように問題に突っ込みながら解き進めていると、一つの事実に気づく。
隣の席のヤツが無茶苦茶うるさい。
もちろん、実際に声を発しているわけではないが、彼の一挙一動の全てがうるさいのである。
鉛筆でマークシートを塗れば大地という名の長机が鼓動し、消しゴムで回答を修正すれば、大海という名の長机が大波を引き起こす。
なんでマークシートのテストでこんな煩く出来るんじゃい、楕円を黒く塗装するのにどんだけ心血注いでんじゃいと試験が終わったら吐き捨ててやりたいくらいの煩さだ。
受からなかったら物理的にクビでもつながらなくなるのか。
隣でデシベルを測定したら騒音被害を訴えられるのではないかというレベルだった。
このことから学んだこととしては、何かしらの試験を受ける際の会場は高校がいいということであろう。
なぜなら、大規模なホールや大学と異なり、机が独立しているからである。これはマジの知見だ。
そんな感じで他の人間への憎しみを強めながら試験は終わった。
正直、上記の2問以外は記憶にないくらいに他者への憎悪を強めながら帰ったので、それ以外の当日の記憶はない。
かろうじて帰り際に秋華賞の中継を見た記憶だけはあるが、万が一馬券を買っていたらもっと理不尽極みない憎しみを強めていたであろう。
…今思い返してみると、付箋を教科書に沢山貼っていたご婦人も、隣の席の神様にしか許されないレベルで鼓動を発生させていた青年も、前の席の早々に睡眠モードに入っていた女性も合格していたのであろうかと、少しだけ思い馳せてしまう。
まぁ、受験番号順で着席していたので、インターネットに公表されている結果を見ればなんとなくは予想がつくのだが、それをやるとマジで本当に人間として超えてはいけない一線を超えてしまう気がするので絶対にやらない。
というか、私が合格したのも運が良かったという要素が大きいので、あまり誇れないものであるので尚更である。
合格発表日まで「合格点下がってるといいな〜」と本気で思ってたくらいだし。もし自分が委託主ならこんな奴に宅地を取引してほしくない。
そんな感じで、つい最近の思い出を振り返りつつ、やっぱり登録申請面倒そうだな~と思いながら、日記をしめる。なんで6万円も払わなきゃならんのだ。
[了]Written by 髑鵝蛇丸 豼翅
【参考資料】
[1][2]https://www.retio.or.jp/past/pdf/R3-question.pdf
フタコブラクダのコブを同意の上で上下左右計13個にした後に、黄色いおべべを無理やり着せる活動がメインです。最近の悩みは鳥取県の県境を超えられないこと。