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むかし書いた韓国コラム #24

 日本も韓国も5月5日はこどもの日でお休みだ。日本だとかしわ餅を食べるものだが、韓国でかしわ餅を食べるのは難しそうだ。と思っていたのだが、そういえば以前にかしわ餅のようなものを食べたことがあるのを思い出した。「マンゲトク」という名前の餅だ。サルトリイバラの葉であんの入った餅を包んであり、見た目も味もかしわ餅そのものだ。サルトリイバラを慶尚道の方言で「マンゲ」と言い、その葉で包んでいる餅(トク)なので「マンゲトク」という名前になった。

 どこで見かけたかというと、何年か前に慶尚南道の鎮海に行った時だった。夜に露店でマッコリを飲みながらパジョンをつついていたら、餅売りのおじさんが現われ、その口上がおもしろかったので買い求めたのだ。調べてみると慶尚南道宜寧辺りの名産品という。ソウルで簡単に入手できるかはわからないが、ネットで調べると通販でも入手は可能らしい。今年のこどもの日は過ぎてしまったが、来年は食べたいところ。異国にいてもこういう日本の風物詩は大事にしたい。

【解説】
 サルトリイバラというものがどのようなものかは知らないのだが、ウィキペディアには「四国地方などの西日本の地域では、葉で菓子や柏餅を包む風習もある。紀州や中勢地域などでは、サルトリイバラの葉で包むので柏餅とはよばず、五郎四郎餅やいばらまんじゅうとよばれる」との記述がある。柏の木が自生しない西日本でサルトリイバラの葉が用いられるとのことで、マンゲトクはかしわ餅とほぼ同じものと考えてもよさそうだ。

(初出:The Daily Korea News 2013年5月7日号 note掲載に当たり解説を加筆しました)

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