むかし書いた韓国コラム #25

 コンビニの人気商品トップはこの数年ビングレの「バナナ味牛乳」が独走している。1974年に発売されたロングセラー商品だ。当時はまだバナナも高価な果物で、おいそれと口には入らなかったのだろう。もうすぐ40歳になろうかという韓国人男性も、子どものころはなかなか食べられなかったバナナの味を手軽に楽しめるバナナ味牛乳を愛飲していたという。

 20年ほど前、下関から釜山に向かう関釜フェリーに乗り込んだところ、帰国する韓国人留学生が手にバナナを1房持っていた。まだ韓国ではバナナは貴重品だった。検疫の関係で韓国には持ち込めないが、日本を離れるに当たり最後に存分に食べたかったのだろう。

 いい歳したおじさんたちも意外とバナナ味牛乳のファンだ。子どものころの懐かしい味がするのだという。飲み終わってしんみりと「本物のバナナよりうまい」と一言。人気の一端が垣間見られた。

【解説】
 韓国のコンビニでトップセールスを誇るビングレのバナナ味牛乳は日本人にもファンが多い。2016年には東大門にバナナ味牛乳カフェもオープンし観光客も多く訪れているとか。日本では2012年にコンビニでビングレのバナナ味牛乳が販売されたが、通常の四角い牛乳パック形態で、特徴的なプラスチック製の樽型容器でなかったのは残念だった。ただパッケージには樽型容器に入ったバナナ味牛乳が描かれていた。

(初出:The Daily Korea News 2009年12月1日号 note掲載に当たり解説を加筆しました)

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