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むかし書いた韓国コラム #275

 もうシーズンは終わりだが、春川や麟蹄などはワカサギ釣りで知られる。氷上でのワカサギ釣りも楽しいが、釣りをしなくてもお店に行けば手っ取り早く食べることはできる。春川・昭陽ダムの近くにはワカサギの水槽を置いた、屋台に毛が生えたような店が20店舗ほど並んでいる。メニューはてんぷらと「フェ」だ。「フェ」は刺身のこと。あんな小さい魚をどうやって刺身にするのか。興味がわいたので頼んでみると、水槽に網を突っ込んでワカサギをすくってそのまま鍋に入れて味噌で和えたものが出てきた。さばいて刺身にするのではなくただの躍り食いだ。さっきまで水槽を泳いでいたのでピチピチと飛び跳ねている。箸でつまむと身をよじらせて逃げようとするさまを見るとちょっと食べにくい。

 味については和えた味噌の味で、ワカサギそのものの味はそれほど感じられない。試しに食べてみたが、普通にてんぷらのほうがおいしかった。

【解説】
 バスに乗り昭陽ダムの終点で降りるといくつもお店があり、そこで腹ごしらえをしてから観光に行くか、帰りのバスに乗る前に一杯飲んでいい気分になるというのが定番だったのだが、数年前にお店は全部なくなってしまった。遊覧船に乗っていった先でワカサギのてんぷらを食べられる店はあるが、フェを食べられる店は見かけなかった。一度わさびと醤油持参で賞味したかったのだが。

(初出:The Daily Korea News 2010年3月19日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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