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むかし書いた韓国コラム #847

 ユネスコの「世界記憶遺産」に、韓国のセマウル運動記録物が登録された。セマウル運動とは朴正熙政権時代に行われた農村近代化事業だ。最貧国だった韓国が世界10位の経済大国に発展する上で大きな役割を担った。世界記憶遺産への登録で関連資料が開発途上国や農村開発を進める国際機関にも貴重な資料になることが期待される。一方、19日にはミャンマーのネピドーで韓国とミャンマーによる初の経済協力共同委員会が開かれ、韓国側からはセマウル運動を農村開発のモデルケースとして輸出することが提案された。セマウル運動はいまでも現役のようだ。

 セマウルといえばかつての花形特急列車の「セマウル号」を思い出す。流線型のスタイリッシュな先頭車両は耐久年限満了により今年1月で全車退役してしまった。現在は操車場などに集められ解体を待っている状態だ。保存計画があるかはわからないが、こちらも貴重な歴史の証人。どこかで整備して保存する価値はありそうだと思うのだが…。

【解説】
 70年代に始まったセマウル運動だが、明確にいつ終了したのかははっきりしない。現在でもひっそりと続いているのだろうか。農村近代化事業ではあるが、ソウル市内でもときどきセマウル運動のマークをあしらった帽子やTシャツなどを着用している年配の人を見かけることがあった。運動自体は終わっているのかもしれないが、市民の間にはしっかりと根付いているのかもしれない。写真は大阪の国立民族学博物館に展示されているセマウル運動の旗と帽子、Tシャツ。

(初出:The Daily Korea News 2013年6月20日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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