むかし書いた韓国コラム #529

 ソウル市鍾路区が、大型ビル、多世帯住宅、小規模建物などの建築物に名前を付ける事業を本格化する。小規模集合住宅や雑居ビルには正式名称がないケースが多く、カーナビゲーションなどでの検索が困難だった。現在鍾路区の建物台帳に登録されている2万7897件の建築物のうち名称があるのは11%の3290件にとどまった。

 以前その鍾路区に住んでいた。裏路地にある赤れんが造りの住宅で、当然名前はついていない。名前もなくわかりにくい立地ゆえ、ピザの出前が迷い、ピザを頼むといつもバイクが家の前を行ったり来たりしていた。建物に名前がつけばこうした問題も解消されるだろう。ついでに、当時住んでいたのは1階だったが、下に半地下の部屋もあった。これにより外部からの訪問者はどっちが1階かわからず、ピザ屋は毎回半地下の部屋に行ってから1階のわが家にやってきたもの。建物の名前を付けるついでにフロア表示も明確にするよう条例でも定めてくれればいいのだけど。

【解説】
 その後ちゃんとした名前と各部屋に部屋番号が付いたまともなビルに引っ越したらピザのデリバリーがスムーズで感動した。鍾路区の取り組みは正式に実施されたのか確認はしていないが、番地があってもピザ屋が迷うようなところに名前を付けたところでどれほどの効果があるのか疑問だ。

(初出:The Daily Korea News 2015年11月27日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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