むかし書いた韓国コラム #246

 日本に戻ってきて夜に何気なくテレビをつけてみたら、「ものまねグランプリ」をやっていた。昔はこういう番組が好きでよく見ていたもの。懐かしさもあってしばらく見ていたが、困ったことに、ものまねをしているタレントのほとんどが自分の知らない人だった。それだけではなく、ものまねをされている人が誰なのかもほとんどわからなかった。知らない人が知らない人のものまねをしたところで面白いはずはなく、画面の中の出演者がお腹を抱えて笑っているのを白けた目で見ているしかない。

 日本を離れて幾星霜。日本のテレビはNHKワールドかチャンネルJでしか見られない環境では、日本の芸能事情を追いかけるのにも限界がある。韓国の日本好きな人たちはインターネットを使い最新の日本の芸能番組を見て情報収集をしているらしいが、こちらにはそこまでの熱意はない。

 たまに帰る日本は、自分がどれだけ浦島太郎になっているかを確認する旅でもあるようだ。

【解説】
 2010年代に入るとユーチューブをはじめ中国の違法配信サイトなどで日本のテレビ番組を見られたりもしたが、それまでは日本のテレビを見ることはほとんどできなかった。ゆえに2000~2010年の日本の流行についてはほとんどわからず、ものまねに限らず、その時期の日本の流行語や流行の文化などについても知識はほとんどない状況だ。同世代の友人と時代の共有ができていないのがちょっとさびしい。

(初出:The Daily Korea News 2011年10月5日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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