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むかし書いた韓国コラム #14

 スマホ全盛時代。電車に乗れば座っている客も立っている客もほとんどがスマホに見入っている。韓国では電車の中で物乞いをする人を見かける。以前に比べると少なくなったようだが、先日も片手にお金を入れるザル、片手に杖を持って車内を歩く物乞いの女性を見かけた。平日の昼下がりで車内の座席はほぼ埋まり立ち客が数人いる程度。なんとなく車内の様子を眺めていたが、物乞いが目の前を通っても乗客はみんなスマホに集中し一瞥もくれない。スマホはおろか携帯電話もない時代にはみんな物乞いの存在に気付きそれなりの関心を持ったもの。お金を恵む人もそれなりにいて、韓国人のやさしさを垣間見ることができた。

 スマホに没入すれば自分だけの世界に入り込め、周囲の情報はシャットアウトされる。車内での物乞い行為を不快に思う人にとっては、その存在に気付くことなくやり過ごせるスマホはありがたい存在だろう。ただ物乞いにとっては得られるお金も少なくなり恨めしい存在かもしれない。

【解説】
 スマホの普及だけでなく最近は日本よりもキャッシュレスが普及しているため現金を持っていない人も多い。物乞いにとっては暮らしにくい社会になっているようだ。ちなみに地下鉄での物乞いは違法行為なので特に同情する気はない。

(初出:The Daily Korea News 2016年2月5日号 note掲載に当たり解説を加筆しました)

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