むかし書いた韓国コラム #145

 日本の実家に滞在中、「きょうは帰りが遅くなりそうだ」と母親に告げたら合い鍵を渡された。鍵を持って出かけるなんて何年ぶりだろう。ソウルではデジタルドアロックの家が多い。前に住んでいた築25年とやや古いれんが造りの家もデジタルドアロックで、出かける時に鍵を持って行くことはなかった。暗証番号は自分で変えられるので前の住人が入ることはできない。なかなかに便利なものだと関心したもの。もう10年以上そういう生活をしているので、シリンダー錠という「遺物」が日本でいまだ現役、かつ主流であることに少々驚いた。

 日本に住んでいた20年近く前、共同玄関はテンキーで4けたの数字を押して解除するオートロックのマンションは普通にあったが、部屋の鍵までデジタルロックのところは見たことがなかった。現在も日本での普及率は高くはなさそうだ。どちらが安全なのかはわからないが、久しぶりに鍵を回す感触はちょっと懐かしかった。

【解説】
 日本の家はいまだにアナログの鍵が多い。日本人はいまだに鍵をジャラジャラ言わせながら持ち歩き、時に鍵をなくしたと大騒ぎしている。韓国から意気揚々と引き揚げてきたら祖国がこんな未開の後進国に成り下がっていたという絶望感、海外在住経験のない日本人にはわかるまい。

(初出:The Daily Korea News 2017年2月6日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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