見出し画像

むかし書いた韓国コラム #359

 あまり気が利くタイプではないので、例えば酒の席で周りの人たちに酒を注ぐタイミングに気付かないことが多い。相手が日本人の場合、韓国式にコップが空になってから注ぐべきなのか、日本式に注ぎ足すべきか迷うこともあり、もたもたしているうちに別の気が利く人が注いでしまうのだ。

 先日のお昼のこと。プデチゲ屋で食事をすることになった。同席したのは年上の方で、少々気を遣わなくてはならない相手。「気が利かない」という汚名を返上するため、箸とスプーンを並べ、コップに水を注ぎ、プデチゲが沸騰したら即席めんを割り入れ、と珍しくスムーズなオペレーションを披露した。プデチゲも煮えてきて食べ頃になった。ここで相手の取り皿に分け入れようと気を利かせたのが間違いだったか。取り皿は韓国ではおなじみのステンレスの器だった。取り分けているうちに手で持てない熱さに。

 「アチチ…」と騒ぐ筆者に相手は「自分でやるからいいよ」と一言。汚名返上計画は失敗に終わった。

【解説】
 こんなことを書いているけど本当は気配りの人なので、プデチゲのスムーズなオペレーションはむしろ当たり前で、みんなから「気が利くよね」とほめられてます。本当です。

(初出:The Daily Korea News 2012年10月31日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?