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むかし書いた韓国コラム #44

 ソウルに広島からちょっと珍しい贈り物がやってきた。蘆原区の京春線旧花郎台駅に整備されている鉄道公園向けに、広島電鉄から路面電車の車両が無償譲渡されたもの。もとは大阪市電として走っていた車両だ。今月初めに現地に運び込まれ展示されており、将来的には公園と最寄駅の花郎台駅間700メートルを走るようになるそうだ。ソウルにもかつて路面電車が存在していたが、1968年に廃止されている。当時の車両はソウル歴史博物館などに保存されているが、走行可能なものは現存していない。今回はソウルで晩年に走っていた車両に似ているということで日本から譲り受けたという。

 同公園にはチェコのプラハから譲渡された路面電車も展示されている。欧風スタイルで日本や韓国でなじみのあるスタイルではないが、実は平壌で同型車両が現在も活躍しているという。このほか同公園には韓国で使われていた狭軌のSLと客車もある。なかなか本格的な鉄道公園になりそうで、整備完了が待ち遠しいところだ。

【解説】
 動態保存が期待されていた広島電鉄の車両だが、残念ながら公園と駅との間にある大通りを横断する部分がネックとなり運行できていないらしい。電車の運行は公園のある旧花郎台駅から地下鉄花郎台駅までだったようだが、その先も京春線旧線の線路跡は中浪川に架かる京春鉄橋までが散策路として整備されており、電車はなくても歩きながら往時の雰囲気を楽しむことができる、

(初出:The Daily Korea News 2018年1月26日号 note掲載に当たり解説を加筆しました)

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