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むかし書いた韓国コラム #873

 以前オフィス近くにあった中華料理店からよく出前を頼んだり、昼食に行ったりしていた。店の名前は「娥房宮」だった。どういう意味なのかわからなかったが、最近になりこれが秦の始皇帝が建てた宮殿の「阿房宮」のことだと気づいた。韓国語で読めば同じ発音だ。なぜ違う字を当てているのかはわからない。単に間違えているだけなのだろうか。

 中華料理店の店名で中国の著名な建築物の名前を使うことは多い。阿房宮もそのひとつだ。同様に、清の王宮だった紫禁城も中華料理店の店名としてよく見かける。ところが、漢字を見るとことごとく「紫金城」になっているのだ。これも韓国語では同じ発音だが、なぜこの字を当てているのかはわからない。

 もしや韓国の中華料理業界には中国の建造物の名前をそのまま使ってはいけないという暗黙のルールでもあるのだろうか?

【解説】
 日本にも「紫金城」を名乗る店はないかと検索してみたら、大阪に存在することがわかった。韓国式中華料理店らしいので、やはりなにか暗黙のルールでもあるのだろうか。写真は韓国で見つけた中華料理店。まぁ一般的な韓国人の漢字能力ってこんなもんなので暗黙のルールなどではなく、ただなんとなくテキトーに同音の漢字をあてただけなのかもしれない。

(初出:The Daily Korea News 2010年5月25日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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