むかし書いた韓国コラム #827

 旧正月と秋夕は韓国の2大名節と呼ばれる。この時期韓国人主婦を悩ませるのが「名節症候群」だ。親戚が集まるため料理や後片付けに追われ、精神的・肉体的なストレスが貯まり、名節が近づくと憂鬱になるという。日本から嫁いできた女性も例外ではなく、この場合は言葉の面での負担も加わる。連休だからと喜んでばかりもいられないのだ。

 筆者は男なのでこうした問題とは無縁だが、ある意味名節症候群にかかりかけている。この時期自宅に閉じこもっていると、上の階に住む大家から食事に招かれるのだが、残念ながらこれがおいしくないのだ。里帰りシーズンなのに1人でいる店子を哀れに思ったのだろうか。その気持ちは非常にありがたい。ありがたいのだが肝心の料理が口に合わないのでは苦痛でしかない。

 このままでは名節症候群になりかねない。それだけが理由ではないが、今年の秋夕は海外脱出をはかることにした。大家には申し訳ないけれど、こればかりは仕方がないのだ。

【解説】
 この年以降も毎年基本的に旧正月と秋夕は海外に逃げていた。大家さん夫妻はとても親切でいい人なのだが、料理の味が極端に薄く、ほとんど味がしなかった。素材の味を活かすといえば聞こえはいいが、調味料を入れ忘れているんじゃないかと思うほど。いい人だっただけに悪く言うのは気が引けるのだが、料理については本当に残念なできだった。

(初出:The Daily Korea News 2012年9月28日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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