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むかし書いた韓国コラム #458

  そろそろ春の行楽シーズンだ。ならば旅の計画でも立てようかと時刻表を買いに行ったら、なんと昨年廃刊してしまったという。鉄道文化旅行社が刊行していた300ページほどの「月刊観光交通時刻表」は鉄道からバス、飛行機、船と韓国の国内交通を網羅する優れものだった。ひところ精力的に各地を旅したものだが、かばんに1冊入れておくと非常に重宝した。

 いまやデジタル時代で、サイトで時間をチェックし、ついでにチケットの予約までできてしまうが、紙の時刻表は必要なページに指を挟みながら乗り継ぎを調べたり、鉄道とバスのページを見比べながらどっちで行くか思案するなど使い勝手は決してデジタルに劣らなかった。いや、むしろデジタルよりも便利だったかもしれない。旅先での急な旅程変更にも臨機応変に対応できバッテリー切れになる心配もない。ページを繰りながらまだ見ぬ旅先の風景に思いをはせるという机上旅行も紙の時刻表ならではの楽しみ方だった。知らぬ間に廃刊していたとは寂しい限りだ。

【解説】
 時刻表に関していえばデジタルは万能ではない。旅慣れた人ほどデジタルよりも冊子の時刻表を好むはずだ。廃刊は残念だ。

(初出:The Daily Korea News 2013年3月23日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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