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むかし書いた韓国コラム #277

 きょうからKTXの2期区間が開業し、ソウルと釜山はこれまでの最速2時間40分から最速2時間18分で結ばれる。もともと京釜間を2時間以内で結ぶのが目標だったことを考えると、わずか22分の時間短縮はそれほどのインパクトはない。むしろ慶州や蔚山に鉄道で2時間前後で行けるようになったほうが印象的だ。

 京釜間の所要時間だが、あくまで「最速」2時間18分というところが盲点かもしれない。実際に2時間18分で走破する列車は2往復しかなく、ほとんどが2時間30分台、停車駅によっては3時間近い列車もある。新線に切り替わったと言っても、トラフィックの多いソウル駅周辺はいまだ在来線と同居しているため、上り列車は慢性的に遅れが出ている。従来の最速は2時間40分だったが、実際には3時間を見込まねばならなかった。今回の開業でどうにか2時間40分くらいになるだろうか。お祝いムードに水を差すような指摘で恐縮だが。

【解説】
 慶州や蔚山に2時間前後で行けるようになったのはいいが、慶州や蔚山を経由したために釜山まで2時間以内で到達するのは困難になった。慶州は韓国屈指の観光地、蔚山は韓国屈指の工業都市ということで経由させる意味はあるのだが、どちらの駅も市街地から遠く市内までは30分以上バスに乗らなくてはならず、利便性には疑問符が付く。列車の高速化で京釜間2時間を切る日はくるだろうか。

(初出:The Daily Korea News 2010年11月1日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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