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むかし書いた韓国コラム #211

 多世帯住宅の1階に住んでいる。韓国は半地下構造の部屋があるのが普通で、わが家の下にも別の家族が住む半地下の部屋がある。不動産屋で契約の際に筆者の部屋は1階で、半地下の部屋は「地階」だと聞いていた。建物は共同玄関を入って階段を上がると1階、下がると地階になるという構造だ。

 その地階の住人は自分の部屋を1階と思い込んでいるようで、ときどき筆者宅に身に覚えのないピザやらチャジャンミョンが届けられることがある。逆に筆者が頼んだピザが地階に届けられることもある。問題はこの建物のどこにも階数表示がないことだ。最上階に住む大家を訪ねた際に2階を通ったら、その部屋には「301号室」という表示が。

 うちに来た光熱費の請求書を見ると、電気代は宛先が1階になっているが、ガス代は2階になっている。しかし登記簿謄本を見ると確かに地階の存在が明記されている。どうやらとんだラビリンスに迷い込んだようだ。

【解説】
 写真がその家。1階に見えるのが地階で2階に見えるのが本当の1階だ。
この家の前に住んでいた家も似たような作りで、道路に面した共同玄関には上り階段しかなく、ひとつ上のフロアが自宅だったので2階に住んでいると思っていたら、建物の裏にもうひとつ入口があり、共同玄関の下にも部屋があった。いちばん下の階は地階ではなく1階だったので、自宅は実は3階だったということが住んでから数年後に判明した。

(初出:The Daily Korea News 2010年5月31日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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