むかし書いた韓国コラム #713
先月から公開されているソウル駅の旧駅舎を訪れた。KTXのないころに使っていた懐かしい駅だ。2004年からガラス張りの新駅舎となったので旧駅舎に足を踏み入れるのは久しぶりだ。
記憶に残る旧駅舎は、1階コンコースにはいつも多くの人が行き交い、売店や自販機、ATMなどがあった。エスカレーターに乗って2階に上がり切符を買って待合スペースで改札を待っていたもの。復元された旧駅舎には便宜施設は一切なく、自分の知る時代よりさらに前の時代へとタイムスリップしたようだ。館内には当時の遺物が展示されているほか、写真パネルによる説明なども掲示されている。駅舎2階には開業当初に朝鮮随一と評判だったステーショングリルの空間も残されている。館内に見られるしゃれた意匠は建築好きにはたまらなく魅力的だ。
国際空港を思わせる近未来的な新駅舎もいいが、旅情をかき立てられる点では旧駅舎に軍配が上がる。KTXではなく、汽車に乗って旅に出たくなった。
【解説】
旧駅舎は文化展示施設として活用しながら保存されており内部に入ることも可能だが、乗降客でにぎわっていた2階コンコース部分は入ることはできないのは残念なところ。
(初出:The Daily Korea News 2011年9月5日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)