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むかし書いた韓国コラム #746

 サクラを見るため土曜日に鎮海を訪れた。天気も良くサクラもちょうど見ごろを迎え最高のタイミングだった。人気スポットである慶和駅は列車も通らなくなり、サクラと列車の組み合わせの写真は撮影できなくなった――と思ったら、なんと慶和駅構内に2両編成の気動車が展示されていた。旅客営業は廃止しているが線路自体はまだ使えるので軍港祭のために運び込んだのだろう。鉄道公社もなかなか粋な計らいをしてくれた。列車は動かないのでその前に立って撮影しても人身事故が起きる心配はない。訪れた観光客は思い思いに記念撮影を楽しんでいた。

 これまでは1日数本の列車とタイミングが合わなければサクラと列車の撮影は難しかったが、今年はいつでも気が済むまで撮影を楽しめる。わずかなシャッターチャンスを求め長年にわたりサクラのシーズンの鎮海詣でを続けている当方にとっては少々複雑な気分だが、案内した日本からの来客も喜んでいたし、いつでも列車が撮れるスポットとして今後も続けてほしいところだ。

【解説】
 列車が走っていたころは、列車が接近しても花見客は線路から離れず事故が起きないのが不思議なほど危険な状況だった。列車は速度を落として警笛を鳴らし続け、運転士も運転席の窓を開けて怒鳴り散らすありさま。旅客営業が廃止されサクラの季節だけ列車を置いておけば危険はないし、映える写真を撮りたい人にもありがたい措置だ。

(初出:The Daily Korea News 2016年4月4日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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