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むかし書いた韓国コラム #125

 受験生向けの考試院という宿泊施設がある。保証金不要で月家賃も安いので上京した学生や外国人留学生も住んでいる。そんな考試院にひょんなことから寝泊まりする機会があった。

 まず驚いたのは部屋の狭さ。2メートル×1.5メートルで、そのうちの半分はベッドが占める。幅75センチのベッドでは寝返りしたら落っこちそうだ。そして壁の薄さ。隣の住人の咳払いまでクリアに聞こえてくる。うっかりおならもできやしない。トイレとシャワーは共同。キッチンには白いご飯とキムチが常備され勝手に食べてもよい。

 こんな生活環境の中で、20年近く前に留学していた時に住んでいた下宿を思い出した。ただ下宿と違い考試院は住人同士のコミュニケーションはほぼ皆無。下宿でなにかと世話を焼いてくれたおばちゃんが懐かしい。考試院によって環境も雰囲気も異なるとは思うが、今回の考試院は「はずれ」だったのか。数日の滞在ですっかり滅入ってしまった。

【解説】
 地方の考試院をいろいろ回った経験では、住民同士の交流はほぼ皆無。壁が薄いところが多くいびきをかいて寝るとかなり迷惑。アラームも鳴ったらすぐに起きないと迷惑。トイレとシャワーは共用のところが多い。窓がない部屋だと料金はやや安くなる。コシテルと呼ばれる施設だと部屋も少し広くなり、トイレとシャワーも自室に専用のものがある。テレビにエアコンや冷蔵庫が付いている物件もあったが、施設が良いほど考試院よりも料金は高くなる。

(初出:The Daily Korea News 2013年10月25日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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