むかし書いた韓国コラム #61

 5万ウォン札が姿を消しているという。流通した後に韓国銀行に戻ってくる回収率は昨年48.6%を記録したが、今年は5月までで27.7%にとどまっているそうだ。高額紙幣のため地下経済に貯め込まれ、表に出てこなくなっているのが背景だとか。

 当方にも思い当たる節がないでもない。自宅の引き出しには5万ウォン札が数十枚眠っている。決してやましい金ではない。使いにくいので5万ウォン札が手元に来たらそのまま引き出しに放り込んでいたらこうなったのだ。ATMでお金を下ろす時も1万ウォン札だけにしているが、カジノで少々儲かった時や、知人への立替金が戻ってきた時などに5万ウォン札が財布に入ってくる。

 少額の買い物なら1万ウォン札を使うし、高額の買い物ならカードを切る。当方の手元にやってきた5万ウォン札が再び外に出て行く機会はない。こうしたことが回収率低下につながっているのだろうとは思うが、使いにくさはいかんともしがたい。気付けばへそくりだけが増えている。

【解説】
 そもそも日本よりキャッシュレス化が進んでいる韓国で現金の出番は少ない。5万ウォン札の発行が検討され始めたころはそんな世の中になるとは予想していなかっただろう。10万ウォン札の発行は見送られたが、もし発行されていたらどうなっていただろうか。ちなみに日本への引き揚げに際し引き出しに貯まっていた5万ウォン札を数えたら80枚を超えていた。銀行に持って行って口座に入れてもらったが、もともと自分の金なのに臨時収入を得たような気分になった。

(初出:The Daily Korea News 2014年6月18日号 note掲載に当たり解説を加筆しました)

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