むかし書いた韓国コラム #132

 あるメディアで現代自動車の昼休み事情が紹介されていた。午前11時50分になるとソウル・良才洞の本社ビル1階エレベーターホールに社員が集まりはじめ、正午ちょうどになるとゲートから飛び出す競走馬のように一斉に外に駆けていくという。同社は昨年から勤務規律を厳しくし昼休みを厳格に統制しているのだとか。ゲート通過にはIDカードが必要で、これにより通過時間が記録されることから正午まで外に出られず、午後1時を過ぎて戻るのもはばかられる雰囲気なのだそうだ。ルールとしては正しいのかもしれないが、ちょっと厳しすぎるように思える。

 韓国企業数社で働いた経験があるが、昼休みのフライングは黙認されていたものの、正午から午後1時までというのはほぼ共通していた。日本ではいつ昼休みを取るかは自由な会社が多かった。韓国に来て困惑したことのひとつは融通の利かない昼休み時間だった。もう少し自由に休めるようにすれば飲食店の混雑も分散され落ち着いて食事ができるようになると思うのだが…。

【解説】
 混雑時間帯を分散させるという考え方がないのか、9時出社の会社も多かった。社員食堂のある大手企業で働いていた時はみんな11時50分ごろから社員食堂に向かっていた。ピークを過ぎた12時30分以降に行くと空いているので個人的にはその時間を狙っていくことが多かったが、そうすると2つあるメニューのうちどちらかが品切れになっていることがあり目当てのメニューにありつけないこともあった。いろんな面で融通の利きやすい韓国社会で、なぜか昼休みの取り方や出勤時間は融通が利かなかった。

(初出:The Daily Korea News 2016年6月2日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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