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むかし書いた韓国コラム #138

 まるで特別感はなかった。9日に開業した新しい高速鉄道SRTの1番列車に乗り込んだのだが、車内はガラガラで、同乗する取材陣も見かけることはなかった。少ない乗客も1番列車が目的ではなく、ちゃんと用務があって乗車している人の方が多いように見受けられた。乗務員が乗車記念にとモチを配っていたのが唯一の1番列車らしい雰囲気だった。SRTは新規開業だが、高速鉄道自体はすでに市民の足として定着しており、新規路線ができたところで一般にそれほど関心はないのだろうか。

 では12年前に韓国に初めての高速鉄道が開業したときはどうだったのか。当時の報道を見ると、1番列車の予約率は90%を超えていた。釜山への日帰り出張が可能になる交通革命にはやはり関心が高かったのだろう。

 1番列車の乗車率はいまいちだったSRTだが、週末は一部の列車が満席になるなどまずまずのスタートを切ったようだ。今後の発展を期待したい。

【解説】
 韓国人は1番列車というものに関心がないようだ。そもそも日本と違い鉄道趣味が一般的ではないという事情もあるだろう。日本ならプラチナチケットのはずの1番列車のチケットは当日でも買えたようだ。新たな高速鉄道の路線ができただけなので高速鉄道そのものが新たに登場した時ほど一般の関心も高くはなかったようだ。

(初出:The Daily Korea News 2016年12月12日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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