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むかし書いた韓国コラム #608

 韓国から日本に帰国して5年になる友人が久々にソウルにやって来たので一緒に市内を歩き回った。友人はどこに行っても「変わったねえ」と驚いてばかり。確かにソウルは町並みの変化が異常に早い。その変化には時に在住者もついていけないこともある。5年ぶりならその変貌ぶりは想像もつかなかったのではないだろうか。

 この友人とはいつも鍾路の1本北側にある「ピマッコル」で飲むのが定番だったが、教保文庫からSC第一銀行までの一帯はすでに立ち退きが進んでしまい、往事の面影はまったく残っていない。

 この辺りもガラス張りのこぎれいなビルが建つのだろうか。新しくて未来的なデザインのビルも悪くはないが、昔ながらの人情味あふれる飲み屋で焼き魚をつまみにマッコリを酌み交わす楽しみの場がどんどん減っていくのは寂しい限りだ。

【解説】
 ピマッコルにはすでに往時の面影は残っていない。ピマッコルにあった飲み屋がそのまま博物館に展示されているくらいで、すでに歴史の彼方に消え去ってしまった。思い返せばあの界隈で飲んだくれた経験は貴重なものだったかもしれない。

 
(初出:The Daily Korea News 2009年7月21日号 note掲載に当たり解説を加筆しました。記事の内容は初出掲載当時のもので現在の状況とは異なる場合があります)

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