サイコパス

きっと彼らは一目見て分かったはずだ。二人は初めて出会うより以前からああなる運命だったんだろう。すれ違っていたわけでもない、分かり合えなかったわけでもない。彼らは誰よりもお互いを理解し、相手のことだけを見詰めていた。

どこかの誰かが「愚かな人類ども」と言ったとして、その人類には当然自分自身も含まれている。人間について知りたいと思ったら、人間を見ているだけではいけない。人間が何を見ているのかに注目しなければ。
君たちは何を見ている。
僕は君たちを見ている。
信じられないかもしれないが、僕は君たちのことが好きだ。昔からよく言うだろう、愛の反対は憎悪ではなく、無関心だ。
興味がないのなら、わざわざ殺したり、痛めつけたりはしないんだ。
余計なことばかり考える、緊張してるのか。相手を甘く見過ぎて踏み込み過ぎた。何てね。

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