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「ノストラダムスの大予言」から学んだこと

私は中学生の頃、「ノストラダムスの大予言」にはまっていました。「1999年7の月、空から恐怖の大王が降ってくる」というやつです。ノストラダムスの大予言が日本で話題になったのは、1973年に発行された五島勉さんの「ノストラダムスの大予言」という本がきっかけだそうです。その時、私は小さかったので、直接知りませんが、「ノストラダムスの大予言」シリーズは、その後も発行されていました。

私が興味を持つきっかけは、兄が買ったのか、家にあった「ノストラダムスの大予言Ⅳ」を読んだことでした。すごい事実を知ってしまったと、衝撃を受けました。もっと知りたいと思い、「ノストラダムスの大予言」シリーズを中心に、五島勉さんの本を読みあさりました。当時、1999年に人類が滅びると本気で信じていました。米ソ冷戦に関するニュースを見ると、これで第三次世界大戦が始まって、1999年を迎えるのかと思っていました。

今思うと、読者というよりは、信者でした。オカルト好きな、暗くて、危ない少年だったと思います。オカルト情報誌を立ち読みすることもありました。こういった雑誌がオウム真理教入信のきっかけだったという話も聞いたことがあるので、あのままオカルトに走っていなくて良かったと思います。

ノストラダムスの大予言やオカルトから離れた明確な理由はありませんが、高校になると、物理学などの自然科学に興味の中心が移り、その手の本はあまり読まなくなりました。

高校を卒業し、大学で上京したときに驚いたのは、頻繁に新宗教系の勧誘を受けることでした。(地方から出てきて、1人でキョロキョロしているので、恰好のターゲットだったと思います。)気になることは知りたいという知的好奇心と、ノストラダムスの大予言にはまった教訓から、街で声をかけてきた宗教や団体がどういうものなのか調べました。洗脳やマインドコントロールに関する本も読みました。駅前で勧誘されても、その人が、どういう団体に所属していて、どういう精神状態なのか、冷静に見られるようになりました。表現が適切かわかりませんが、人間観察を楽しんでいました。当時、大学でもオウム真理教などのカルト教団が活動していました。中学生の頃の疑うことを知らない心で大学生になっていたら、凶悪な事件に関わっていたかもと思い、ぞっとします。

過去の教訓から、何かを判断するときは、反対の意見も調べるようにしています。例えば、「ワクチン接種はしない方が良い」というもっともらしい記事を読んだときは、一旦、受け止めた上で「ワクチン接種をする方が良い」という記事も読むようにします。そうすると、その違いはどこから来るのか、どこか抜けていないか、自分の頭で考えることができます。気に入った著者の本をひたすら読むのも面白いですが、真逆な意見を読むと自分の考えが正しいのか、修正が必要なのか検討できます。最近は、ネットでフェイクニュースもあふれているので、より重要になっていると思います。

ヘーゲルの弁証法では、正(テーゼ)・反(アンチテーゼ)・合(ジンテーゼ)という考え方があります。矛盾する2つの命題を統合することで、より良い結論が得られるというものです。私は、課題を解決するときには、このことを意識するようにしています。

「ノストラダムスの大予言」は当たりませんでしたが、弁証法的思考を身につけられたのは良かったかと思っています。

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