新型コロナウイルス感染症を5類感染症に指定する省令案のパブリックコメントの結果公示および省令施行中止のお願いについて

厚生労働省
 大臣 加藤勝信 様
 健康局結核感染症課 ご担当者 様


益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。

さて,案件番号495220441のパブリック・コメント募集「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則の一部を改正する省令案及び新型コロナウイルス感染症のまん延を防止するため新型インフルエンザ等対策特別措置法第四十五条第二項の規定による要請を行うことが特に必要な施設等を廃止する件に関する御意見募集」について去る4月28日に公示された結果につき,いくつか意見を申し述べさせて頂きます。

全体について

意見総数2177件に対して,「適宜集約」されたとはいえ「考え方」を示されたのが21件というのはあまりにも少なすぎます。全件,真摯に精査されましたでしょうか。
また,「新型コロナウイルス感染症( C OVID19 )については、厚生科学審議会感染症部会において、・・・に基づいて5類感染症に位置付けることとしています。」とほぼ同じ表現が9箇所も記されています。今回のパブリック・コメントにおける極めて基本的で書くまでもない事項であるにもかかわらず,多大な字数を割いて読みづらくし,さらに,いかにも全責任は感染症部会にあるかのような印象を与えようとするものだと考えます。
とても,真摯に国民の声に応えようとする意識が感じられるものではなく,強く不服の念を抱かざるを得ません。

5類感染症指定の是非について

今回,「新型コロナ感染症(新型インフルエンザ等感染症)非該当の公表」と「5類指定」の2つの手続きが行われようとしているわけですが,「5類に移行」という言葉を使われ,まるで一つの手続きであるかのように表されています。これは今回の手続きの本質を意図的に見誤らせようとするものであると言わざるを得ません。
本来,すでに「新型コロナウイルス感染症」に該当しないことが明らかとなっているCOVID-19について,5類感染症指定が妥当であるか否かの「規制強化の観点」からの検討も必要です。それにも関わらず,「新型コロナウイルス感染症」と認められなくなったか否かの「規制緩和の観点」からのみ議論されています。規制強化は感染症法の精神に照らして,人権を必要以上に侵害することのないよう規制を必要最小限にするために,極めて慎重に検討されなければならないものです。それを意図的に行わないのは人権を著しく軽視する暴挙と言えます。

感染症および病原体の名称について

2177件の意見から僅か21件しか取り上げない中で,感染症の名称に関するものを2つ取り上げ,ほぼ同じ考え方が示されています。徒に作業量を多く見せかけるものと感じざるを得ません。
そしてその説明内容は破綻しています。示された名称と定義の説明は,要約・補足すると次のようになります。なお,「新型コロナウイルス感染症」は「新型コロナ」に置き換えます。

2019年に中国で見つかったコロナウイルスによる感染症は,これまで感染症法での一分類としての「新型コロナ(新しく且つ極めて危険なコロナウイルスによるものであることが条件)」に該当したが,もう該当しない,つまりもう日本に「新型コロナ」と呼べる病気は存在しないことになります。
その上で,今後5類感染症に位置づけられるのは,2019年に中国で見つかったウイルスによる「新型コロナ」であるとされています。しかし,「新型コロナ」と呼べる感染症が既に存在しない以上,「新型コロナ(~に限る)」の括弧書きの限定条件の前提となるものが存在しません。

また,「何年たっても『新型』とされるのは違和感がある」という意見に対し,「一般的な風邪のコロナウイルスとの比較では,引き続き『新型』のウイルスである」とされています。つまり,「新型とは認められなくなり5類に指定するが引き続き新型」という意味不明な説明となっています。

「新型コロナ」と呼び続けたいがために無理を生じた愚挙と言えます。法的正当性の追及を免れないでしょう。
加えて言えば,1月27日に「新型コロナウイルス感染症(新型インフルエンザ等感染症)」とは認められなくなったことが実質的に確定し,感染症法第44条の2 第3項の定めによる「速やかに,その旨を公表」する義務および新型インフル特措法第21条による政府対策本部廃止の義務を負ったにも関わらず今日までそれらを行わなかった違法性も問われるでしょう。

病原体についても,「病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和二年一月に、中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)であるものに限る」としているが,変異が大きく進んだ今のウイルスに当てはまるのか,この定義に当てはまるかどうやって判断するのか,という意見に対し,「SARS-CoV-2を指す」と示されています。つまり日本として判断することはなく,WHOが「これはSARS-CoV-2だ」とする限りそれに従うということでしょうか。
その姿勢は,極めて非科学的,かつ独立国としての主体性の全くないものです。

応召義務について

「5類でも診療拒否できるのでは?」との意見に対し,「個々の事情を総合的に勘案する必要がある・・・コロナにり患している若しくはその疑いがあるということのみを理由とした診療の拒否は『正当な事由』に該当しない・・・適切な準備を行うこととし、それでもなお診療が困難な場合には、少なくとも診療可能な医療機関への受診を適切に勧奨すること」とされています。要するに,事情があればたらい回しにしてもよいという内容であり,再び歪んだ医療逼迫を招き,本来特別な扱いを要しない疾病に対する誤った施策により,国民の生命と健康に重大な影響が及ぶことが強く危惧されます。これも,後の責任追及を免れないものと考えます。

対策に費やすリソースについて

対策に費やす医療資源や国費などのリソースについて,抑制や見積りを求める意見に対して,ほぼゼロ回答であり,またしても青天井でリソースが浪費される危惧を抱かざるを得ません。

最後に

以上,パブリック・コメント結果について,強く不服,危惧を抱く多くの事項につき申し述べさせて頂きました。
2177件の「貴重なご意見」から選りすぐったはずの僅か21件の最後の意見が「題名が長い」であり,それに対して「改正する省令の名前や関係する法律の名前が長いため」とのみ答える,このことに象徴されるこの問題に対するとてもではありませんが真摯とは言えない取り組み姿勢には,国民の生命はこんなにも軽く扱われるのかと悲嘆と怒りの念しか湧いて参りません。
何卒,国民の生命,健康,および人権,そして我が国の自主自立を取り戻すため,5月8日には「新型コロナウイルス感染症」に該当しない旨の公表のみを行い,5類指定の省令施行は中止するよう衷心よりお願い申し上げます。

追記

「どんなに弱毒化しても5類は外れないのか」という意見に対して,「オミクロン株とは大きく病原性が異なる変異株が出現するなど、科学的な前提が異なる状況になれば、ただちに対応を見直す」と示されています。この方針は基本的には病原性が高まった場合の規制強化を想定していると思われますが,この質問に対する回答として示されたということは,弱毒化の場合も「ただちに」対応を見直すと公言したことになります。
この事実が存在することを,確実にご認識頂くようお願い申し上げます。


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