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農業2050年問題

テレビでたまに見る野菜を畑に植えたままトラクターで耕す映像。フードロス削減がこれだけ叫ばれる中で、あの野菜の廃棄はなぜ起こるのか。

野菜を市場に出荷した際に農家が受け取る価格は日々変わる市場相場で決まる。
そして相場は『需要と供給のバランス』によって決まり、世の中が必要な量に対して足りなければ高くなり、余れば安くなる。
それが市場の原理原則でもあり、市場価格が農家の損益分岐点より安ければ、手間やコストをかけて市場に出荷するより廃棄した方が痛手(コスト)が少ないからと、畑に植えたまま廃棄される。(出荷するにも包装代や段ボール代、人を雇用していれば人件費が掛かる)

市場に出荷すると上記の通り市場の原理で値が付けられるため農家には価格決定権がなく、さらにはこの30年間、野菜の相場はほとんど変わっていない。
またここ数年で農家の経営コスト(肥料・農薬・資材・人件費など)は4年前(コロナ禍前)の1.5倍(全国平均)になっている。

そして今の日本の農家の全国平均年齢は68歳と、日本の全農家の約7割は60歳70歳以上の高齢農家で占められている。

これらを鑑みると、あと10年もすれば国産の農畜産物を作っている7~8割の農家が引退なり廃業し、普段当たり前のように食べているお米、肉、野菜が簡単に食べられなくなる事は火を見るより明らか。

また農家が減ると食料だけではなく、日本の素晴らしい田舎の環境や美しい景観も徐々に失われて行く。

これを『農業の2050年問題』と呼んでいる。

ある大手シンクタンクによると、2050年どころか今から10年後の2033年には農家の数は今の約半分となり、国内流通する国産農産物は今の6割も減っていく。
ただすぐには食べ物には困らないはず。
なぜなら国産が減る分、海外から輸入されてくるから。
安全かどうか解らない海外から。

追記
よく『規格外トマト無い?』と聞かれますが、農家みんなが規格外に困ってる訳でもなく、大半の農家は規格外を何かしら活用しています。ただ上記の通り、市場しか販路の無い農家は価格が暴落すると逆ざやになるため、最悪の最悪の場合廃棄しています。

いま一番フードロスが多いのは農家から出る規格外ではなく、コンビニやスーパーなどで売れ残った食品と、それを作る際に出るロス(野菜の端材など)で、コンビニ各社も対策に乗り出しています。

【私達が今からできること】
・海外品ではなく国産や地元の農産物を意識して買う
・農家と知り合いになっておく
・自分で作物を育てるスキルを身につける
・食品の購入は必要な分だけ
#フードロス
#農家
#2050年問題

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