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君に贈る火星の

「火星からきた家政夫でス」
玄関にいたのは、両親が僕に贈ったお世話ロボットだった。
僕の両親は火星探査隊のメンバーで、もう何年も地球を離れている。
それから、ドタバタの日々が始まった。
洗濯を頼めば、服は洗剤まみれ。
「水が使えるんですカ?」
掃除を頼めば、部屋は強風でひどい有り様。
「砂が全然ないですネ」
料理を頼めば、宇宙食。
「チューって吸っテ」
授業参観には、キャタピラできて笑われた。
「おしゃれしてきましタ」
これじゃあ、余計なお世話ロボットだ。
父さんと母さんに会いたい。部屋に鍵をかけ、僕はこっそり泣いた。
すると突然、扉をぶち破り、家政夫が入ってきた。
「なんだよ!この役立た…ごくっ」
口に入れられた何かを飲み込んだ。
「あっ」
母さんのプリンだった。
「レシピを再現しましタ」
そう言って、父さんのように頭をポンとなでてくれた。
お手伝いにも、色々あるかも。
「今キッチンにはいかないデ」
人間みたいなお願いをする家政夫に、僕は笑った。


(了)


【別タイトル】 火星夫がきた

文章や物語ならではの、エンターテインメントに挑戦しています! 読んだ方をとにかくワクワクさせる言葉や、表現を探しています!